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5月, 2014の投稿を表示しています

糖尿病治療薬JARDIANCE(ベーリンガー)を欧州委員会ECが新薬承認

JARDIANCEの一般名はempagliflozin、ベーリンガー・インゲルハイムとリリーが共同開発してきたSGLT-2阻害剤である。欧州医薬品庁(EMA)は2013年3月に販売承認申請(MAA)を受理し、1年後の今年3月にはCHMP定例会議で承認を勧告、EC の正式承認待ちとなっていた。 JARDIANCEは 10mg 錠および25 mg 錠の2剤形で承認された。「食事療法や運動療法で血糖管理が不十分な2 型糖尿病患者」を対象とする。承認の根拠となったのは2 型糖尿病患者を対象とした10 本以上の国際共同、多施設参加の臨床試験からなる大規模臨床試験で、症例数は13,000例を上回った。単独療法あるいはメトフォルミン、SU剤、インスリン、およびpioglitazone (アクトス)との併用療法により、HbA1cおよび体重の低下を証明した。 P A R   米国FDAは今年3月に「承認見送り」とする審査終了通知(CRL)を発行しているが、FDAが取り上げた製造問題は欧州では重視されなかった模様。

武田薬品の潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬ENTYVIOがFDA承認を取得

成人の「中等度~重度の活動性潰瘍性大腸炎」および「中等度から重度のクローン病」の治療薬として、標準療法(ステロイド、免疫抑制剤、または抗TNF-α抗体)による治療で管理不十分な症例を対象として承認された。➔ FDAリリース ENTYVIO(一般名:vedolizumab)はα4β7 integrinに対するヒト化モノクローナル抗体である。α4β7 integrin は潰瘍性大腸炎やクローン病の炎症発生の段階に関与するとされる循環白血球のサブセットに発現し、消化管の血管やリンパ節に特異的に存在する細胞接着分子に結合して炎症反応を引き起こす。ENTYVIO はα4β7 integrin に特異的に結合し、α4β7 integrin の細胞接着分子への結合を阻害し、特定のリンパ球の消化管細胞への浸潤を阻害する。 潰瘍性大腸炎は米国で62万人が罹患している慢性疾患で、大腸の内璧での炎症と潰瘍に起因し、慢性炎症性腸疾患の主要な2 疾病の1 つである。炎症は、腹部の不快感、消化管出血および下痢を誘発する。クローン病は、あらゆる消化管の部位で炎症、あるいは膨化および刺激の原因になる慢性の炎症性疾患で、米国では50万人以上の患者がクローン病と診断されている。 P A R   欧州医薬品庁EMAの審査は承認申請(2013 年3 月)から1年で順調に進み、2014年3 月のCHMP 定例会議において承認勧告を受けている。欧州委員会ECの承認を待つ最終段階。

BMS とAbbVie が共同開発する多発性骨髄腫治療薬elotuzumab をFDAがブレークスルー(BT) 指定

elotuzumabは「リンパ球活性化シグナル伝達分子」を標的とするヒト化IgG1 モノクローナル抗体である。「前治療歴のある多発性骨髄腫(MM、multiple myeloma)」に対する、「lenalidomide およびデキサメタゾンとの併用による治療」がFDAのブレークスルー治療(BT)の指定を受けた。 リンパ球活性化シグナル伝達分子(signaling lymphocyte activation molecuule, SLAM)のSLAMF7は骨髄腫およびNK 細胞上に発現する糖タンパクの一種で正常組織では検出されていない。ブリストル・マイヤーズ(BMS)とアッヴィー(AbbVie)の両社はelotuzumab がNK 細胞を活性化して抗腫瘍作用を示すことを期待している。➔ BMSリリース P A R 多発性骨髄腫(MM)は白血病に次いで二番目に多い血液がんであり、5 年生存率は45%と難治性である。米国では年間24,000人が新たな診断され、11,000 人が死亡すると推定され、世界の全患者数は750,000 人と推定されている。

PD-1 免疫チェックポイント阻害薬nivolumab (BMS/小野薬品)をホジキンリンパ腫治療薬としてFDAがBT 指定

PD-1 免疫チェックポイント阻害薬nivolumab はブリストル・マイヤーズ(BMS)が小野薬品からライセンス導入して日本などを除く全世界の開発・販売権を取得。非小細胞肺がん、腎細胞がん、悪性黒色腫を対象にP3段階に達している。2014年中には、扁平上皮性非小細胞性肺癌の治療薬としてローリング申請を開始する予定だ。 FDAは、自己幹細胞移植やADC 抗がん薬ADCETRIS (武田薬品)による治療に失敗したホジキンリンパ腫(HL )患者の治療薬としてブレークスルー治療薬(BT)に指定した。現在進行中の再発・難治6b性血液細胞腫瘍患者を対象にした後期第1 相試験のデータが指定の根拠となった。

メルクの抗血小板薬ZONTIVITYがFDA承認を取得

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ZONTIVITY(一般名=vorapaxar)はfirst-in-class のPAR-1 拮抗剤。プロテアーゼ活性化受容体(PAR)-1に拮抗してトロンビンによる血小板の活性化を阻害する錠剤である。 「心筋梗塞(MI)または末梢動脈疾患(PAD)の既往患者」における「血栓性心血管系イベントの抑制」を適応症とした。「生命に関わる、または致死的出血を含む出血リスクを増加させる」、というBlack Box Warningは他の抗血小板剤と同様。➔ FDA発表 2014 年1 月15 日のFDAの心血管系・腎臓薬諮問委員会(CRDAC)は「心筋梗塞の既往歴はあるが脳卒中や一過性虚血性発作(TIA)の既往歴の無い」患者における「アテローム血栓性イベントの予防」の申請効能について審議し、賛成10、反対1 で承認を勧告していた。 P A R  メルクが490 億ドル(5兆円)を費やしたSchering-Plough買収(2009年)において、開発パイプラインでもっとも注目された品目の1 つだった。しかし、ピーク時年商として50 億ドル(5000億円)との予想に反して、臨床試験は期待通りに進まなかった。  2011 年1 月には症例数1万3000例を目標としていた大規模の「TRACER 試験」を中止。「TRA-2P 試験」は脳卒中既往患者への投与を中止して冠動脈疾患(CAD)の既往患者への投薬だけを継続し、規模を縮小した。  2012 年8 月のACC学会 でTRA 2P-TIMI 50 試験を報告し、脳卒中または一過性虚血性心臓発作の既往歴の無い心筋梗塞既往患者のサブ解析結果に基づいて2013 年に欧米への承認申請を行うと発表していた。

メルクが大衆薬事業を143億ドル(1兆4000億円)でバイエルに売却

バイエルは対価の一部として、自社の医療用医薬品の開発パイプラインからvericiguat (BAY102)を含む可溶性guanylate cyclase (sGC)モデュレーターに関するグローバル提携契約を締結した。vericiguatは肺動脈高血圧症(PAH)ならびに慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療薬としてフェーズ2段階にある。本件ではバイエルが一時金10 億ドル、開発段階に応じたマイルストン、発売後は販売額に応じたロイヤルティーを受領する。(➜ バイエル発表 ) P A R   年初から様々な観測がながれ、ノバルティスの動物薬事業との交換が噂される場面もあったが、結局は大衆薬市場のグローバル最大手であるバイエルが勝ち取った。(➔ メルク発表 )

重篤な高トリグリセリド血症の治療薬としてアストラゼネカのEPANOVAをFDAが承認

EPANOVA は中性脂肪(TG、トリグリセリド)のレベルが 500 mg/dL以上の成人の重篤な高トリグリセリド血症治療薬として承認された。主成分は遊離脂肪酸omega-3-carboxylic acidsであり、持田製薬のエパデールとほぼ同じ組成。承認はNME でなく、Type 5 のNew formulation またはNew manufacturer に分類されている。用法用量は食事の有無とは関係なく、1 日最低2 カプセルを服用するが、選択肢として2 グラム(2 カプセル)または4 グラム(4 カプセル)服用する。 中性脂肪(TG)は血中に見出される脂質の1 種で体のエネルギー源として重要である。一方で、トリグリの非常に高レベルの患者(重篤な高トリグリ血症)は血中の脂肪が多すぎて重篤な合併症を発症し易い状況にある。米国では約400 万人が重篤なトリグリ血症に罹患しており、肥満や糖尿病のようなそれに伴う発症数が増加している。EPANOVA は、ドラマティックに患者の服用の負担を増すことなく、症状を効果的に管理できる選択肢を医師に提供できる高純度の遊離脂肪酸である。 P A R  コレステロール低下剤クレストールはGalaxy試験と呼ばれた大規模な市販後臨床試験を駆使して市場を拡大し、アストラゼネカの最大製品となった。しかし、2013年売上高(56億ドル)は前年比10%減少して60億ドルを割り込み、グローバル製品ランキングは7位から12位へ低下している。これまで、高脂血症治療薬市場で築き上げてきた優位性をEPANOVAでどこまで維持できるか注目される。