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タケダ薬品の株主総会に向けて「考える会」の見解3 > 株主提案権の行使について

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株主提案権行使に至る理由について 武田薬品の将来を考える会 代表 武田和久 非常事態宣言は解除されたものの、第2波第3波に備え、予断を許さない状況は今後も続くと予想されている今、私たちには、ウィルスと共生していく知恵と工夫がより求められています。そして企業も株主もまた、知恵と工夫、さらには大きな変革が求められています。 さて、「武田薬品の将来を考える会」は今回、ガバナンス強化に資すべく社外取締役の候補者を推薦し、株主提案権を行使することにいたしました。そこに至る理由につきまして、ご報告いたします。 先ずは、この代表的なグローバル製薬企業4社(ロシュ、ノバルティス、ファイザー、メルク)のCEO報酬の表をご覧ください LINK > 株主提案権の行使 タケダのCEO報酬18億円は、メルクの30億円、ファイザーの20億円に次いで3位となっています。 最高額であるメルクのCEO報酬は、2014年から2015年にかけて倍増し、その後更に4億円増加しています。その背景には、2014年に発売した抗がん剤・キートルーダの好調があります。メルクは、2015年に9.9%だったROEを38%へと28ポイント改善し、5年間の配当成長は年率平均5.1%、TSR(株主総利回り)は75%。これによりフレイジャーCEOの手腕が高く評価され、取締役会は定年制度を一時停止し、CEOの続投を決定しています。 また、この5年間のTSRは、ロシュ(31%)、ノバルティス(31%)、ファイザー(46%)において、市場(S&P指標)の伸び率(57%)を下回ったことから、CEO報酬は減額となっています(ただし、ファイザーとノバルティスは、途中でCEOが交代、2019年は新しいCEOの報酬)。 ロシュは、全世界における血友病治療薬・ヘムライブラの好調に起因し、ROEを3.7%ポイント改善し(直近実績42.6%)、年率2.7%の配当成長を実現しました。しかし、株価上昇率が市場を下回ったことから、CEOの報酬は減額されています。 さて、タケダはどうでしょう。ウェバーCEOの報酬(18億円)はなんと、この4年間(2018年度まで)で倍増、2019年度には20億円とさらに増加し、2位のファイザーを超えるのではと予想されています。 ウェバーCEOは、経営の選択と集中と称して、ノンコア事業、優良資産などの多くを売却し、さ...

タケダ薬品の株主総会に向けて「考える会」の見解2>株価の現状

株価の現状 シャイアー統合の前後を通じて初めてとなるR&D説明会が昨年(2019年)11月に開催された。しかし、株価は4400円前後で横ばいに推移し、シャイアーとのM&Aを討議した定時株主総会(2018年6月)当時の4600円台を回復できなかった。ウェバーCEO就任時(2015年4月)6000円台だった株価は1年後には5000円へ低下し、2017年は6000円台を回復したものの、2018年以降シャイアーとのM&Aが表面化してからは3000円以下まで半減、その後4000円台を回復したところである。 株主総利回り(TSR, Total Shareholder Return) タケダ薬品の2020年3月期ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は0.9%となり、15%前後にある国内の同業他社、さらに15%から42%にある海外製薬企業とは比較の仕様がない低水準である。また、ISSなど著名な議決権行使助言会社が最低ラインとする5%にも届かない状況が続いている。そのために株価が低迷し、株主総利回り(配当金総額と株価増減額の合計)はウェバーCEOが就任した2015年4月1日から2020年3月31日までの5年間でマイナス29%となった。アステラス(-5%)、エーザイ(+3%)、第一三共(+309%)、さらに市場(TOPIX -9%)に対しても大きく下回る結果となった。海外企業は2015年1月初から2019年12月末の暦年データであるが、継続的に増配を維持し、配当成長率は年率平均2.2%から6.5%だった。加えて株価の上昇もあり、5年間のTSRは31%から75%となった。タケダ薬品の配当成長率はゼロだった。 LINK > 株主総利回り (武田薬品の将来を考える会ホームページ)

タケダ薬品の株主総会に向けて「考える会」の見解1>CEOの報酬について

CEOの報酬について 2020年5月26日 代表的なグローバル製薬企業(ロシュ、ノバルティス、ファイザー、メルク)のCEO報酬を比較表に示しました。タケダの18億円は、メルクの30億円およびファイザーの20億円に次いで3位となります。最高額のメルクCEOの報酬は2014年から2015年にかけて倍増していましたが、その後さらに4億円増加しました。背景には2014年に発売した抗がん剤キートルーダ(Keytruda)の好調があります。 メルクは2015年に9.9%だったROEを38%へと28%ポイント改善し、5年間の配当成長は年率平均5.1%、TSR(株主総利回り)は75%となりました。フレイジャーCEOの手腕が高く評価され、取締役会は定年制度を一時停止してCEOの続投を決定しています。 5年間のTSRを見ると、ロシュ(31%)、ノバルティス(31%)、およびファイザー(46%)は市場(S&P500指標)の伸び率(57%)を下回ったことから、CEO報酬は減額となりました。ただし、ファイザーとノバルティスは、途中でCEOが交代していますので、2019年は新しいCEOの報酬です。ロシュは全世界での血友病治療薬ヘムライブラの好調が起因して、ROEを3.7%ポイント改善し(直近実績42.6%)、年率2.7%の配当成長を実現しました。しかし、株価上昇率が市場を下回ったことから、CEOの報酬は減額されています。 タケダを見ると、ウェバーCEOの報酬は、2018年度までの4年間で倍増して18億円となっています。2019年度は20億円に達することも予想され、ファイザーを超えるかも知れません。ウェバーCEOは、経営の選択と集中と称してノンコア事業、優良資産などの多くを売却し、さらに国内を中心に多くの従業員を解雇することによって業績改善を図りました。しかし、ROEは0.9%へと3.0ポイント低下、配当成長率はゼロ、TSRはマイナス27%となりました。タケダの株主はシャイアー買収案件の前後に、全体として2兆円の損害を被っています。このような経営者の報酬がなぜ、二倍になっているのでしょうか。欧米企業であれば、CEO報酬の返還と解任を要求されると思われます。 現状を鑑みますと、経営者による自己利益の追求を監視するガバナンス(企業統治)が機能していません。「考える会」では、グローバル化を急ぐ...

FDA、ALUNBRIG(brigatinib)のALK 陽性転移性NSCLC に対する1 次療法の効能追加承認

武田薬品のALUNBRIG(一般名:brigatinib)について、FDA が、成人のALK遺伝子転座陽性転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する1 次療法として承認した。今回の承認により、ALUNBRIG の適応症に1 次療法が追加された。ALUNBRIG は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)分子変異を標的とするようデザインされた強力かつ選択的な次世代チロシンキナーゼ 阻害剤(TKI)である。 本承認は、ALK 阻害剤による前治療歴のない成人のALK 陽性局所進行あるいは転移性NSCLC 患者を対象に、クリゾチニブと比較してALUNBRIG の安全性および有効性を評価する第3 相ALTA-1L 試験の結果に基づくものである。2 年以上の追跡調査後、ALUNBRIG はクリゾチニブよりも良好な結果が示され、特にベースラインで脳転移のある患者に対して抗腫瘍活性が有意に高いことが示された。本試験において、盲検下での独立評価委員会(BIRC)による評価では、無増悪生存期間(PFS)の中央値はクリゾチニブの11 カ月に対してALUNBRIGは24 カ月であり、ALUNBRIGはクリゾチニブと比較して病勢進行または死亡のリスクを2 倍低下させた(PFS ハザード比=0.49)。確定奏効率(ORR)がALUNBRIG 群では74%(95%CI:66-81)、クリゾチニブ群では62%(95%CI:53-70)であることがBIRC の評価として示された。

デング熱ワクチンの開発

03/18, Takeda , Vaccine , Dengue The Lancet publishes papers from two studies of Takeda’s dengue vaccine candidate タケダ薬品が開発中の4価デング熱ワクチンTAK-003に関する論文2報をランセットが掲載した。継続中の申請用フェーズ3試験TIDESの18カ月解析およびフェーズ2試験DEN-204の48か月最終解析により、2回接種による有効性が確認された。

COVID-19に関する各社の取り組み状況

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03/03 タケダ薬品 新型コロナウイルス感染症への新たな取り組み - ラジーヴ・ヴェンカヤ ワクチンビジネストップが語る 02/26 Gilead , COVID-19 Gilead Sciences Initiates Two Phase 3 Studies of Investigational Antiviral Remdesivir for the Treatment of COVID-19 ギリアドはエボラ出血熱にたいして開発中の抗ウイルス薬レムデシビルによるCOVID-19に対する治療に向けて2本のフェーズ3試験を開始する 02/24 GSK , coronavirus (COVID-19) Clover and GSK announce research collaboration to evaluate coronavirus (COVID-19) vaccine candidate with pandemic adjuvant system GSKは中国企業クローバー社が開発したコロナウイルス(COVID+19)に対するワクチン候補をパンデミック抗原性補強( アジュバント )システムを用いて共同開発する。 02/18 Sanofi , COVID-19 vaccine Sanofi joins forces with U.S. Department of Health and Human Services to advance a novel coronavirus vaccine サノフィは米国DHHSと協力してコロナウイルスに対する新規ワクチンの開発を進める 02/18 JNJ , COVID-19 Johnson & Johnson to Expand Partnership with U.S. Department of Health & Human Services to Accelerate the Discovery of Potential COVID-19 Treatments J&JはCOVID-19に対する治療法の発見を加速するために米国DHHSとのパートナーシップを拡大する 02/03 GSK , 2019-nCoV , Collaboration CEPI and GSK announce coll...

タケダ薬品がCOVID-19に対する血清療法の開発に着手

03/04 Takeda , COVID-19 Takeda Initiates Development of a Plasma-Derived Therapy for COVID-19 タケダ薬品はコロナウイルス感染症(COVID-19)に対する血清療法の開発を開始した。コード番号TAK-888としてポリクローナル 超免疫グロブリン(H-IG)製剤を開発する。

CHMP、ALK 陽性非小細胞肺癌の1 次療法としてALUNBRIG(brigatinib)承認勧告を採択

欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が、未分化リンパ腫kinase(ALK 阻害薬)による前治療歴の無い成人の未分化リンパ腫kinase 遺伝子転座陽性(ALK 陽性)進行性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する1 次療法の単剤療法として武田薬品のALUNBRIG(brigatinib)の承認勧告を採択した。 今回の承認勧告採択は、ALUNBRIG の安全性および有効性をクリゾチニブと比較した臨床第3 相ALTA-1L 試験のデータに基づいている。2 年以上の追跡後、ALUNBRIG は、ベースラインで脳転移を有する患者において、独立審査委員会(BIRC)の評価による頭蓋内病変の病状進行または死亡のリスクが69%低下し[ハザード比(HR)=0.31、95% CI:0.17-0.56]、試験責任医師の評価では76%低下した(HR=0.24、95%CI:0.12-0.45)。また、独立審査委員会の評価による無増悪生存期間(PFS)の中央値はクリゾチニブ群11.0 カ月(95%CI:9.2-12.9)に対して24.0 カ月(95%CI:18.5-NE)、試験責任医師の評価ではクリゾチニブ群9.2 カ月(95%CI:7.4-12.9)に対して29.4 カ月(95%CI:21.2-NE)とクリゾチニブ群の2 倍以上であった。

ALK阻害薬アルンブリグによる非小細胞肺がん一次治療

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02/24 Takeda , ALK inhibitor , NSCLC Takeda Announces U.S. FDA Grants Priority Review for Supplemental New Drug Application for ALUNBRIG® (brigatinib) as a First-Line Treatment for ALK+ Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer ALK阻害薬アルンブリグ(一般名ブリガチニブ)をALK変異陽性の転移性非小細胞肺がんに対する一次治療とする承認申請を武田薬品が提出、FDAは優先審査に指定した。申請根拠としたフェーズ3ALTA-1L試験は275例を登録し、アルンブリグ1日1回90mg服用群はクリゾチニブ(商品名ザーコリ)1日2回250㎎服用群を上回る成績を収めた。 (参考) 武田薬品は2017年に52億ドル(6000億円)を投じてアルンブリグ発売直前のAriad社を買収した。その3月末には従業員の6割にあたる180名を解雇しており、当面の業績貢献を狙ったプロダクトハングリーの買収に過ぎないと見られていた。しかしながら、同年8月に承認されたアルンブリグの売上高は2017年15億円、2018年48億円、2019年69億円と低迷している。中外製薬が開発し、ロシュが販売するALK阻害薬のトップ製品アレセンサ(一般名アレクチニブ)は2015年にクリゾチニブ無効例の二次治療として初回承認を取得し、2017年11月に一次治療への適応症拡大が承認され、2018年売上高はザーコリを上回った。その段階でアルンブリグはクリゾチニブ無効例を対象とする比較試験を実施しても、承認取得、市場シェア確保といった各段階での困難が予想された。今回のFDAによる優先審査指定により一つのハードルを越えたように思われるが、脳転移例に限定されるといった制約を受ける可能性が大きく、市場性が限定されると予想される。 2014年に二次治療として承認されたジカディア(一般名セリチニブ)は2017年に一次治療への適応症拡大が承認されたものの売上高は100億円に達せず、ノバルティスは昨年(2019年)より開示品目リストから除外した。一方、ザーコリの売上高は500億円台で比較的安定しているが、ファイザーはROS1阻害...

武田薬品は220億円で一部の大衆薬と非中核事業を売却

Oct 15 , 2019  Takeda , OTC drugs , Divestment TAKEDA AGREES TO DIVEST SELECT OTC AND NON-CORE ASSETS TO ACINO FOR OVER $200 MILLION USD 武田薬品は一部の大衆薬と非中核事業をACINO社に2億㌦(220億円)で売約する契約を締結 (参考) 2019年1月にシャイアーを統合してから3回目の資産売却となる。5兆円を超える有利子負債のEBITDA倍率(現在5倍以上)を2倍以下にするという公約を実現するためには、さらに3兆円の資産売却が必要である。

京大iPS 細胞研究所と武田薬品が創製した初のiPS 細胞由来CAR-T 細胞療法の共同開発

京大iPS 細胞研究所(CiRA)と武田薬品は、新たなプログラム開始に伴い、新規iPS 細胞由来キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子改変T(CAR-T)細胞療法(iCART)に関する研究成果が、両社の共同研究プログラムT-CiRA から武田薬品に継承されたと発表した。T-CiRAの契約条件に従い、武田薬品は本iCART 製品の全世界における開発と商業化権を有し、CiRAは開発の進捗や承認に応じたマイルストン収入を得る。武田薬品とCiRA は引き続き連携し、2021 年の First-In-Human(FIH)試験の実現に向け、iCART プログラムを開始する。

Shire plcのR&Dパイプライン評価について

株式市場は非常に効率的です。なぜなら良いニュース、悪いニュースは瞬時に株価を動かすからです。とくに効率的な米国市場でPER10倍、PBR1.0倍と極端に低い株価倍率は、企業の成長性に明白な問題があるというシグナルです。このシグナルにはふたつの見方があります。 既存製品の売上が安定しているならば、「開発パイプラインには見るべきものがない」という見解。もしくは反対に、 「パイプラインには価値がある」ものの、既存製品の落ち込みで相殺されることが想定されている。 シャイアーの既存製品については、血液事業で1兆円を超える減損処理が必要となる見通しです。これはロシュ・中外グループの二重特異抗体ヘムライブラが10月に非インヒビター型の血友病患者にも広く使用できるようになることが影響するためです。開発パイプラインには、その1兆円を穴埋めするポテンシャルがあるでしょうか? 「武田薬品の将来を考える会」のホームページに掲載しました。 ➔  Shire plcのR&Dパイプライン評価について

ShireとのM&Aに反対する理由 第3版

血友病市場のゲームチェンジャーとなる二重特異抗体の新薬ヘムライブラがインヒビター非保有患者への効能拡大を6月5日に申請、FDAはこれを優先審査とし、10月4日には承認される見通しとなりました。従来の血液由来第8因子製剤の市場は、ウイルス混入の危険性や投与頻度の問題などから消滅すると予想されます。シャイアーにとっては年間30億㌦(3300億円)の売上減少となります。今回の改訂版ではシャイアーの企業収益は2019年から長期の減収傾向が始まる収益モデルとなりました。 血液製剤は石油製品と同じように「連産品」です。最も付加価値の高いガソリンの販売シェアが低い石油会社は重油の販売でも不利になります。原料コストを重油からも回収する必要があるからです。同じことが血液製剤にもあてはまります。高額な第8因子の売上がなくなると、23億㌦(2600億円)を売り上げるグロブリンの製造原価が大幅に増加します。減損処理は血友病製品だけで1兆円、血液事業全体で2兆円に達する可能性があります。 「武田薬品の将来を考える会」のホームページに全文レポートを掲載しています。ご高覧いただければ幸いです。➔ LINK

武田薬品ウェバー社長の書簡について

武田薬品が「株主の皆様へ」と題する社長レターを発表しました。 https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b4hc01/ ウェバー社長の説明は相変わらずEBITDAの一点張りです。ここに最大の問題があります。というよりも、EBITDAで最大の問題を隠しています。 EPS(一株利益)についても会計上のEPSではなく、「実質的なEPS」を配当金を維持する根拠としています。配当の原資は減価償却費を計上したあとの、会計上のEPSでなければなりません。これは企業が永続的な企業であり続けるためには、配当金が償却費を積み立てたあとの「純利益」を超えてはならないからです。 製造機械などの有形資産は経年劣化で10年もすると必ず壊れます。その時に設備を買い替えなければ事業は継続できず、企業は存続できません。健全で永続的な企業は「減価償却費」を十分に積み立てて、同水準以上の設備に更新し続けて競争力を維持する必要があります。無形固定資産の償却もおなじです。製薬企業の場合は特許の残存年数が毎年減っていくなかで償却費を積み立てて更新投資をできなければ、事業規模を維持できずに衰退するだけです。 したがって、企業の純利益は事業を継続可能とするための、あらゆる支出を控除したあとの利益となります。会計学の教科書で最初に勉強することかと思います。あたりまえのことを書いているようで恥ずかしくなりますが武田薬品の経営陣は恥ずかしくないのでしょうか? 本案件の発表直前に 最高財務責任者(CFO)が去ったのも、この辺に原因があったのかと思います。 EBITDAの問題は「考える会」のホームページに掲載しています、ご参照ください。(LINK ➔ ShireのEBITDAについて )

武田薬品とShireの合併について(4)

「武田薬品の将来を考える会」がシャイアー社とのM&Aについて見解を発表しました。弊社はシャイアー社の新薬開発パイプラインの評価、ならびに経営状態について、委嘱をうけて分析しました。弊社のホームページから全文をダウンロードしてご参照ください。➔ リンク 1.武田側株主とシャイアー側株主の間の不公平について シャイアー株主が取得する一株あたり49ポンドの価格は、M&Aのニュースが流れる直前(3月23日)のシャイアー株価と比べると64%高く決まりました。その後シャイアーの株価は25%上昇していますが武田薬品の株価は19%値下がりしています。この取引による武田側の過剰な負担が株価に影響しており、両社の株主間で著しく公平を欠いた取引であることは明白です 。(レポート p.3) 2.借入金の著しい増加について 武田薬品の昨年12月末時点の借入金は1.1兆円でしたが統合後は6兆円を上回ります。合併会社の売上高2年分に相当する借入れとなり(*注)、返済不能となるリスクが大きくなりますが返済計画については未だに説明がありません。この点に関して債権格付け機関である、S&P、ムーディズ、R&Iは、いずれも信用度の格下げを表明しています。ウェバー社長は投資適格を維持すると表明していますが、その根拠は不明です。格付け機関では疑いを持って検討中のようです。(*注)2017年12月末時点での既存借入金が3.2兆円(武田薬品1.1兆円およびシャイアー 2.1兆円)、合併による現金支払に当てる借入金(約3.1兆円)= 6.3兆円 (レポート p.19) 3.収益力の低下について 統合により「のれん代および無形資産」が3兆円増加します。これを負担する新たな借入金3.2兆円の利払いは毎年1200億円(金利4%)となり、従来の借入金(2.8兆円、金利3%)の金利上昇分を合計すると金融費用は1500億円増加します。さらに無形資産の償却費が1,000億円(推定)、統合コスト1,000億円程度が発生します。合計すると統合後の新会社には毎年3500億円の追加負担となり、純利益はほぼゼロ(20億円程度)まで落ち込む見通しです。2017年度予想177円(第3四半期発表で201円に上方修正)の一株当たり利益(EPS)は1円まで落ち込むリスクがあります。なお、2017年度の利益は和光純薬の...

武田薬品によるShire plc買収に関して(3)

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EBITDAについて  武田薬品のウェバー社長はシャイアーとの合併合意の記者会見で収益の悪化を懸念する質問に対して、武田側の株主にとってはEBITDAが3倍になる素晴らしいM&Aであると言っています。EBITDAとは何でしょうか? どうして純利益で言わないのでしょうか?  EBITDAは、earnings before interest, taxes, depreciation, and amortization。日本語にあえて訳せば利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益... 訳語が定まっていないため「EBITDA」と表記されることが多い。読み方は、「イービットディーエー」、「イービッタ」など、定まっていない。 損益計算書 上に表示される会計上の 利益 ではない。2000年前後には財務指標として広く利用されていたが、 2002年 の ワールドコム 破綻の際に、指標としての欠点が問題となった.... EBITDAには、過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失をマイナス要因として取り込むことができないという欠点がある。 インターネット・バブル の頃、この欠点を アメリカ の 通信事業者 ・ ワールドコム が不正に活用した。( ウィキペディア )  ウィキペディアからの引用が長くなりましたが重要な問題を分かりやすく解説してくれています。とくに「過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失」が隠れてしまうという問題はシャイアーにもあてはまりそうです。  シャイアーは3年前(2015年)までは売上高6000億円程度の中堅企業でしたが、2016年にバクスターの血液事業や、希少病の家族性血管浮腫(HAE)で成功したバイオベンチャーなどを買収して売上高は1兆6300億円へと2.4倍になりました。その結果、原価率が急上昇して粗利率が低下、さらに急増した無形固定資産の償却費が発生して営業利益率は大幅に低下しています。合併シナジー(コスト削減)が実現しておらず、大幅に悪化した利益率が回復していないとして、年初来の株価は武田との合併が憶測される3月末までに20%下落するという状況でした。  2017年は会計上の税前利益19億ドル(2000億円)に対してEBITDAは62億ドル(6700億円)にもなります。EBITDAをここまで膨らませる原因となっている無形固...

武田薬品によるShire plc買収に関して(2)

武田薬品とシャイアーが最終的に合併に合意したことが報じられました。ウェバー会長の談話では希少疾患領域の基盤を評価しています。7兆円の巨額投資の根拠としては非常に危険です。以下、弊社の見解です。弊社が運営するファーマセットLibraryの「血友病」と「希少疾患」のページを公開しました。文中のリンク(➔)をクリックしてご覧ください。 血友病について Shireは血友病治療薬の市場で最大となる40%前後の市場シェアを持っていますが、競合する有望な新薬が登場してきました。競合新薬の開発状況を展望したうえで、シャイアーの開発パイプラインの評価を考える必要があります(➔ 血友病 )。中外製薬(ロシュ)のヘムリブラだけでなく、ファイザーがSpark社と共同開発中の遺伝子治療薬SPK-9001なども注目されています。血友病の主要製品の売上高を見ると合計(市場規模)は2017年85億ドル(9400億円)で伸び率は0.4%、ほぼ横ばいでした。市場シェアはシャイアーが最大でAdvateとFeibaを合わせて45%になります。それだけに発明新薬の登場が与える影響がおおきくなると懸念されます。 希少疾患について 希少病の治療薬として10億㌦(1000億円)以上を売り上げる製品はほとんどなく、マルチビリオン($B)製品となるブロックバスターは出てこないと考えていましたが アレクシオン社 が開発した抗体医薬エクリズマブ(販売名 SOLIRIS)は例外となりました。「発作性夜間ヘモグロビン尿症」に対する治療薬として2017年の売上高は3000億円を超えました。オーファンドラッグの開発に弾みをつける素晴らしい成果だと思います。とは言え、企業の経営戦略として希少病領域でブロックバスターを狙うのは間違っていると思います。これは倫理的な問題だけではなく、これまでの市場の現実を踏まえるべきだと考えるからです。 ポンペ病、ファブリー病、ゴーシェ病といった希少病の治療薬を開発して映画にもなったジェンザイムをサノフィが2011年に買収しました。その事業部(Rare Diseases)の業績はずっと20億ドル(2000億円)台で低迷しています。希少疾患は患者数が極端に少なく、新薬の普及率は発売と同時に100%に達します。価格は非常に高額なので値上げは許されません。希少疾患の新薬開発は行政やアカデミアの支援が手厚いの...

武田薬品によるShire plc買収に関して(1)

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表題の件、とくに株主が被る損害について弊社の見解を発表しました。 現金プレミアムを組み合わせて株式交換を提案した武田薬品のシャイアー合併計画は、発表と同時に武田側株主が明白な損害を被るという、異例なスキームである。 M&Aにはあらゆる危険が潜む、としても極めて異例である。4月25日の「改定申出」によって解消されたが、それまでの問題点は次のとおりである。 武田薬品経営陣によると、シャイアーに提案した一株7050円(47ポンド)の買取価格は憶測前(3/20)の株価 4470円(29.8ポンド)に対して2580円(58%)のプレミアムになる  7050円は現金3150円(21ポンド)と新株3900円(26ポンド)で提供される  シャイアー株主は合併によって現金3150円を受領すると同時に、3900円で取得した新株を現時点(4/20) の市場価格(4857円)で売却すると、差額957円の追加利益を得ることができる  合併提案の公表によって下落した株価 4510円(4/25)でさえ、シャイアー側株主には取得額 3900円との差額 620円が追加利益となる  このように、シャイアー側株主は新会社の株価が 3900円に低下するまで追加利益を確定するために、先を争って売り抜けようとする  合併成立を待つまでもなく、市場で空売りして 3900円で買い戻す裁定取引が成立するので、武田薬品経営陣が提案を撤回しない限り、この状態が持続する  従って、4857円(4月20日)の武田株を保有していた株主は会社声明が発表されると同時に3900円との差額 957円の損失が決定されたことになる 4月25日の「改定申出」について Shire社株式1株あたり7424円(49ポンド)へと前回の7050円(46ポンド)から5.3%引き上げた。プレミアムの言及はないが計算では64%へ6ポイントの追加となる  Shire株主は現金3295円(21.75ポンド)および 4130円(27.26ポンド)に相当する新株0.839株を取得する。  一株あたりの価格に換算すると4月23日の終値4923円と同じとなる。  この改定によってShire側株主が得る追加利益が裁定取引を誘引して、株価が下落する問題は解消された。...

クローン病の肛囲複雑瘻孔治療剤としてALOFISELを欧州委員会(EC)が承認

 武田薬品とTiGenix NV(Leuven, Belgium)(TiGenix)が開発中のALOFISEL(一般名:darvadstrocel)について、欧州委員会(EC)が非活動期/軽度活動期の成人のクローン病患者において、既存治療または生物薬品を少なくとも1 回以上実施したにもかかわらず効果不十分な肛囲複雑瘻孔への治療薬として承認した。本剤は、EU で初めて承認された同種異系脂肪由来幹細胞製剤(懸濁剤)となる。  第3 相ADMIRE-CD 臨床試験においてALOFISEL 治療群は、対照群と比較して主要評価項目の24 週時点における複合寛解について統計学的に有意に優れていることが示された。また、フォローアップデータにより、ALOFISEL はクローン病に伴う難治性肛囲複雑瘻孔患者に対して、52 週間にわたって長期的に寛解を維持したことが示唆された。

武田がTiGenix社を買収し、消化器領域の開発パイプラインおよびリーダーシップを強化(1/5)

 タイジェニクス社(TiGenix NV)は、重篤な疾患に幹細胞を使用した新治療薬の開発を進めているベルギーの先進的バイオ医薬品企業である。武田薬品はタイジェニクス社にとって望ましい任意の公開買付けを実施するための「オファー・サポート契約」を締結したと発表した。武田薬品とタイジェニクス社は2016 年7 月に新薬候補Cx601 について、米国外の独占的開発・販売権に関する契約を締結しており、本買収は「消化器系疾患患者に新たな治療の選択肢を提供する」ために既存の提携を発展させるものでる。  Cx601は病変内に注入する同種異系の脂肪由来 幹細胞 の懸濁剤である。少なくとも1 つの従来の治療法、あるいは生物学的製剤による治療に奏効しなかった非活動期/軽度活動期 クローン病 に伴う肛囲複雑瘻孔を対象とする。肛囲複雑瘻孔は、激痛、感染症、失禁を伴うこともあり、治療は困難で患者のQOL に深刻な影響を及ぼす症状である。  欧州医薬品庁(EMA)医薬品委員会(CHMP)は2017 年12 月15 日にCx601 の販売承認を勧告している。米国では国際共同臨床第3相試験が開始されている。