投稿

10月, 2014の投稿を表示しています

第一三共の経口抗凝固剤エドキサバンをFDA諮問委員会が承認勧告

 「非弁膜症性心房細動患者の脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を適応症として第一三共が申請中の経口ファクターXa阻害剤「SAVAYSA」(一般名:エドキサバン)に対して、FDAの諮問委員会は9:1で承認を勧告をした。  審議はエドキサバンの「1日1回60 mg」および「1日1回30 mg」の2用量について、非弁膜症性(NV)心房細動(AF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制を評価した国際共同試験ENGAGEの結果に基づいて行われた。  採決に際して、① 60mgを正常および軽度の腎不全患者の双方に承認、②正常腎機能患者には60mg 以上の高用量を承認、③ 軽度および中等度の腎機能不全患者を対象に承認、の3 つの選択肢が用意されたが承認に賛成した9 人は、①が5 人、②2 人、③が2 人と意見が分かれた。日本では2011年7月より製品名:リクシアナⓇとして半量の30mgと15mgで販売されている。 P A R コメント 圧倒的な賛成多数での承認勧告だったが、「60mg以上の高用量への言及」は追加臨床試験の必要性を示唆するとして、FDAの最終決定をネガティブに観測するロイターやForbesなど一般紙の記事(➜ リンク )が目についた。専門メディアでは「Medscape」が、2万1000例にのぼる大規模臨床試験の成功を評価する一方で用量設定に関する問題を報じている(➜ リンク )。  FDAの事前資料(➜ リンク )で指摘された「クレアチニンクリアランス80以上の腎機能正常患者で治療成績がワーファリンを下回る」、というサブグループ解析に対して諮問委員の意見が分かれた。低用量30mg投与群の存在が問題を複雑にしたようだ。  NVAF患者の脳卒中予防(SPAF)効能を取得した抗血液凝固薬はすべてワーファリンを対照薬とする大規模アウトカム試験を実施している。2011年に承認されたバイエル/ジョンソン&ジョンソン共同開発のXareltoの「ロケット試験」は1万4000例、2012年に承認されたブリストル・マイヤーズ/ファイザー共同開発のELIQUISの「アリストテレス試験」は1万8000例だったがいずれも単一用量対ワーファリンの2群比較だった。1群あたりの症例数では、エドキサバンのENGAGE試験7000例はアリストテレス試験の9000例に及ばない。  

サノフィの取締役会が全員一致でヴィーバッハーCEOの更迭を決定

ヴィーバッハーCEOの在任期間は6年間だった。年初からの株価は8%下落、PERは18倍と低迷してきた。バイオシミラー製品の影響でインスリン市場の競争が激化し、業績低迷が懸念されていた。今年(2014年)9月10日には最大製品である持効型インスリン製剤ランタス(Lantus、一般名:インスリン グラルギン)に対する初めてのバイオシミラー製品を欧州委員会(EC)が承認し、危機感が一気に高まったようだ。

ノバルティスのセクキヌマブの尋常性乾癬に対する承認勧告をFDAが採択

FDA 諮問委員会は、中等度~重度の尋常性乾癬(PPs)治療薬として申請中の選択的interleukin-17A(IL-17A)阻害薬セクキヌマブ(AIN457)の承認勧告を全会一致(7:0)で採択した。この勧告は、中等症~重症のPPs患者約4,000人を対象とした10本の第2/3相臨床試験から得られた有効性と安全性の成績に基づいている。第3相臨床試験プログラムには、中等症~重症のPPs患者に対してセクキヌマブ300mgおよび150mgの有効性を検討した4本のプラセボ対照試験が含まれている。 これらの試験でセクキヌマブは、乾癬病変域と重篤度インデックス(PASI)75および90、ならびに、2011 改変治験医師グローバル評価(IGA mod 2011)0/1奏効を含む主要評価項目と重要な副次評価項目のすべてをクリアした。さらに、12週時点でPASI 75反応およびIGA mod 2011 0/1を達成した患者の大部分は治療を継続し、52週時点でも効果が維持された。主な有害事象は鼻咽頭炎、頭痛、下痢、掻痒および上気道感染症で、重大な安全性の問題は報告されていない。 参考:PPsに対するFDAの販売承認の審査目標は2015年初頭であり、EMA/CHMPの意思決定は2014年末~2015年初頭に期待されている。 セクキヌマブは、IL-17Aに選択的に結合してこれを阻害するヒトモノクローナル抗体で、炎症性サイトカインの放出を阻害する。免疫系に影響を及ぼす疾患を対象に開発中で、強直性脊椎炎に対する2本の第3相臨床試験において主要評価項目を達成したと発表されている。

ノバルティスが急性リンパ性白血病(ALL)に対する細胞療法CTL019の有効性をNEJM誌に発表

ノバルティスとペンシルバニア大学が共同開発中の「個別化T細胞療法」CTL019の再発・難治性(r/r、relapsed/refractory)急性リンパ性白血病(ALL)患者における有効性/ 安全性を評価した臨床試験の結果がNew England Journal of Medicine (NEJM) 誌に掲載された。CTL019は第3 世代の「キメラ抗原受容体(CAR)遺伝子」改変T 細胞療法で、FDAよりブレークスルー治療(BT)指定を受けている。 今回の発表では、r/r ALL 患者30例中27 例(90%)が完全寛解を達成し、この中にはAmgen が開発中の腫瘍免疫BiTE抗体ブリナツモマブ(blinatumomab)の不応患者2例と幹細胞移植経験者15例が含まれていた。 患者の自己T 細胞を採取し、CD-19 を標的とするCAR(CTL019)遺伝子をレンチウイルスベクターにより形質導入した後に体内に戻す「細胞治療」を行ったところ、6 ヵ月の無イベント生存率は67%(95%CI: 51-88%)、同全生存率は78%(95%CI:65-95%)を達成した。 全患者にサイトカイン放出症候群[軽度・中等度22 人(74%)、重度8 人(27%)]が発現したが、抗IL-6 受容体抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)により治療が可能であった。 P A R  コメント: 同じくALL治療薬として 開発段階で 先行しているアムジェンのBiTE抗体ブリナツモマブは、今月上旬(10月9日)にFDAがBLA申請を優先審査で受理し、PDUFA審査期限は2015年5月19日となった(➔ アムジェン発表 )。成人患者が中心の慢性骨髄性白血病(CML)に対してはノバルティスが開発した グリベック、タシグナを始め、スプリセル(BMS)、ボシュリフ(ファイザー)など有効な治療薬が開発され、治療成績が大きく向上した。しかし、小児が中心の急性リンパ性白血病(ALL)では大多数がフィラデルフィア染色体陰性(Ph-)患者であり、新たな画期的新薬の登場が待たれている。par library ➔ 新薬開発>血液がん

BMSとヤンセンが非ホジキンリンパ腫に対するオプジーボ/IMBRUVICA併用臨床試験の提携契約を締結

ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)とジョンソン&ジョンソン(J&J)の医薬品部門ヤンセンR&D、およびファーマサイクリックスは非ホジキンリンパ腫(NHL)に対する「オプジーボ」(一般名:ニボルマブ)とIMBRUVICA(一般名イブルチニブ、ibrutinib)の併用療法の安全性、忍容性および予備的な有効性を評価する臨床試験の提携契約を締結した。両薬剤はともにFDAからBT指定を受けている(➜ per news )。 オプジーボはBMS と小野薬品が開発したPD-1 チェックポイント阻害剤で、日本では7月4日に根治切除不能な悪性黒色腫の治療薬として承認された(➜ per news )。一方、イブルチニブはファーマサイクリックスとヤンセンが共同開発した経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤で、米国ではマントル細胞リンパ腫と慢性リンパ性白血病(CLL)を適応症として承認されている。 今回の提携は、第1/2相臨床試験として「びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)」、「濾胞性リンパ腫(FL)を含むNHL」、および「CLL」に対するオプジーボ/イブルチニブ併用療法の安全性と抗腫瘍活性を評価する。 P A R  コメント:  BMSやメルク(MSD)のPD-1阻害薬との併用を提案する共同開発契約が次々と発表されており、今後の抗がん剤開発は「がん免疫療法」を中心とする2剤以上の併用療法が主流となりそうな様相である。ファイザーは自社で開発したALK阻害剤の肺がん治療薬「ザーコリ」(XALKORI)をメルクのPD-1阻害剤「KEYTRUDA」と併用する臨床試験の提携を8月に発表、さらに協和発酵キリンが開発したCCR4阻害剤の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)治療薬「ポテリジオ」と自社で開発中のCD-137阻害剤の併用療法の開発で提携した(9/29会社発表➜ 【新薬開発】 )。協和発酵キリンはPD-L1阻害剤MEDI4736を開発中のアストラゼネカともポテリジオ併用療法の開発で提携している(7/30会社発表)。

C 型肝炎治療薬ハーボニ(HARVONI)をFDAが優先審査で承認

ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)のC型肝炎治療薬「ハーボニ」(HARVONI)が承認された。ギリアドが昨年発売した「ソバルディ」に、NS5Aプロテアーゼ阻害薬レジパスビル(一般名)を加えた配合剤である。FDAは昨年(2013年)12月にブレークスルー指定(BTD)しており、加速承認制度の下で迅速な審査が行われた。 ウイルス遺伝子1型(HCV1)の感染者約1,500 人を対象として行われた3本の第3 相臨床試験(ION-1、ION-2、ION-3 試験)が承認の根拠となった。リバビリン非併用の患者863例のうち94~99%がSVR12(投与終了後12週目の持続性ウイルス学的著効)を達成し、完全治癒とみなされた。 ギリアドが計上した2014年第1四半期(3ヶ月間)のソバルディの売上高は22億ドル(2,300億円)を超え、発売初年度から8000億円を超えて史上最大の新薬発売になると予想されている。ソバルディ(一般名ソホスブビル、sofosbuvir)はC型肝炎ウイルスの複製に必要なRNAポリメラーゼを阻害する核酸アナログ製剤で、インターフェロンやリバビリンの併用を必要としない「インターフェロン・フリー」を初めて実現した。 1日1錠12週間服用するソバルディの費用は8万4000ドル(900万円)となり、高額の価格設定に批判が集まっていたが、ハーボニはさらに高い9万4500ドル(1,000 万円)とされた。ギリアド経営陣はJ&JのOLYSIO(一般名シメプレビル)、メルクのボセプレビル、Vertexのテラプレビル(国内製品名「テラビック」、田辺三菱)といったプロテアーゼ阻害剤の併用が不要になるので100万円を上乗せしても、患者にとってのメリットは大きいとしている。 参考:日本では2014年9月23日に、遺伝子1型C 型慢性肝炎治療薬としてレジパスビル・ソホスブビル配合剤の承認申請を行った。

EMAが臨床試験報告書を公開する方針を決定

欧州医薬品庁(EMA)の運営委員会は、「販売承認申請に含まれる臨床試験報告書を、当該申請に係る審査結果が決定され次第、可及的早期に文書として一般に公開する」という画期的なポリシーを全会一致で採択した。この新ポリシーは2015年1月1日に発効し、臨床試験報告書を一般読者がパソコンのスクリーン上で閲覧、検索、ダウンロード、印刷、保存できるようになる。ただし、商業目的に使用することは禁止される。 今回のポリシーの発効により、臨床試験報告書へのアクセスが容易になり、当局の意思決定が一般にも理解されて承認申請審査に対する信頼性が高まるものと考えられる。アカデミアや企業の研究者がデータセットを見直すことが可能になり、臨床試験の重複を避け、革新性が高まることから、新薬開発の促進につながると期待される。 既承認医薬品の剤形追加や効能追加に関しては、2015年7月1日以降に提出された申請にかかわる臨床試験報告書へのアクセスを認める方針である。また、将来的には個々の患者データについても入手できるようにすることを計画している。そのためには法的および技術的問題の解決が必要であり、特に患者のプライバシーが適切に保護されることが最も重要な課題である。