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8月, 2016の投稿を表示しています

ロシュのPD-L1 阻害剤TECENTRIQ(atezolizumab)が肺癌患者の生存を有意に延長

 ロシュの抗PD-L1抗体TECENTRIQ(一般名:atezolizumab)が、「化学療法による治療中または治療後に進行した非小細胞肺癌」を対象とした第3相OAK 試験で全生存期間(OS)を有意に延長した。TECENTRIQは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞の双方に発現するPD-L1と結合するよう設計されたモノクローナル抗体である。本年(2016年)5月に膀胱がんを適応症としてFDAの初回承認を取得している。  OAK試験はTECENTRIQの有効性および安全性について化学療法と比較した、オープンラベルの第3相臨床試験である。主要評価項目(OS)のほかに、副次評価項目とした奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)などのエンドポイントも達成した。登録患者1,225例は対照薬ドセタキセルと1:1で割り付けられた。全生存期間(OS)の延長は、PD-L1の発現状況にかかわらず認められた。  PD-L1は、T細胞の表面上に発現しているPD-1、B7.1の双方と相互作用することにより、T細胞の働きを阻害する。TECENTRIQがこの相互作用を遮断し阻害することにより、T細胞が活性化され、癌細胞を効率的に検出して攻撃する能力を取り戻すことが可能になる。PDL1発現は、ロッシュの診断薬部門が開発したSP142抗体をベースにした免疫組織化学染色法(IHC)を用い、腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞の両方で評価された。 参考:  すでに承認されていた非小細胞肺がん(NSCLC)での有効性の証明に失敗したと発表(8月5日)されたBMS/小野薬品のPD-1阻害剤オプジーボはPD-L1発現5%以上の患者を対象としていた。その後(9月7日)、非小細胞肺がんの効能追加試験に成功し、FDAがブレークスルー治療指定(BTD)を賦与したメルクのPD-1阻害剤キートルーダは対象をPD-L1発現50%以上の患者に絞り込んでいた。ロシュのTECENTRIQはPD-L1の発現状況にかかわらずOSを延長している点が注目されるものの対照薬は白金錯体化合物ではなくタキソテールであった。FDAは「PD-L1陽性の非小細胞肺がん」治療薬としてBTDを賦与し、適応症追加の承認申請は優先審査とされた。審査期日は10月19日。 Link  企業分析 ➜ Roche  新薬開発➜ 肺がん

アストラゼネカが保有する抗生物質の主力製品と開発プロジェクトをファイザーが総額16億ドルで買収

 ファイザーは抗生物質を中心とする感染症治療薬の、米国市場を除く開発・販売権をアストラゼネカから獲得した。米国市場が除外されたのは、最も重要な製品であるZavicefta(一般名セフタジジム/アビバクタム)が米国では製品名AVYCAZとしてすでにアラガンが販売していることが背景にあるようだ。  AVYCAZはFDAのQIDP制度に基づいて2015年2月に加速承認されたものの、売上高は今年度(2016年)も1億ドル(100億円)に達しない模様である。今後の売り上げ拡大には、cUTI(複雑性尿路感染症)とcIAI(複雑性腹腔内感染症)に限定されている適応症が、HAP(院内感染症)などに拡大される必要がある。欧州では製品名Zaviceftaとして、cUTI、cIAIに加えてHAP、VAP(人工呼吸器関連感染症)など幅広い適応症で2016年6月に承認された。米国を除外してもピーク時売上が10億ドルに達する可能性は十分にある。 既存製品のメロペンはピークとなった2008年には9億ドル(900億円)を売り上げていた。住友製薬(現、大日本住友製薬)からの導入品だった。​ ​ 現在は特許満了にともない減少しているものの新興国市場を中心に2億ドル台で安定している。 参考:買収費用について  ファイザーが支払う16億ドルは、4月に解消したアラガン合併計画1600億ドル(16兆円)と比べると、その100分の1と極めて小規模である。先週発表されたMedivationの買収費用140億ドル、さらに5月に買収した炎症・免疫分野のベンチャー企業Anacor社52億ドルと合計した208億ドルがようやく8分の1を超える。アストラゼネカは2013年にブリストルマイヤーズから糖尿病領域の合弁事業を43億ドル(➜ PARニュース )で買収しており、抗生物質の事業価値を糖尿病領域の5分の1程度と評価していたことになる。 . Link . > Pfizer > AstraZeneca > acquisition > anti-infective

Janssen(J&J)の抗うつ薬エスケタミンをFDAがBT指定

 Janssen Research & Development、LLC、(JNJ)(Janssen)が開発中のエスケタミンesketamine が、「切迫した自殺リスクの高い大うつ病」の治療薬としてFDAのBreakthrough Therapy(BT)指定を受けた。2016年5月に米国アトランタ で開催された生物学的精神医学会(SBP)で発表された、第2相臨床試験結果が根拠とされた。エスケタミンは2013 年11 月に「治療抵抗性うつ病障害」治療薬としてBT指定を受けており、今回は2度目の指定である。  エスケタミンは非選択性、活性依存性N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体作動薬で、作用機序は既存のうつ病治療薬とは異なる。また、経鼻吸収製剤となっている。大うつ病治療薬としては50年ぶりの新しい薬効メカニズムとなる。現在、6 本の第3 相試験が並行して進行している。 , Link  企業分析 ➜ Johnson & Johnson  治療分野➔ 向精神薬  

アストラゼネカとリリーが共同開発中のBACE 阻害薬AZD3293をFDA がファストトラックに指定

 アストラゼネカとイーライリリーが共同開発中のBACE 阻害薬AZD3293をFDA がファストトラック(FT)に指定した。AZD3293は、アルツハイマー病(AD)治療薬で、現在第3相試験段階に進んでいる。FT指定の根拠とされたのは、第2/3相AMARANTH試験の結果である。AZD3293はこの試験において脳脊髄液(CSF)中のアミロイドβ(Aβ)を用量依存的に減少させた。  同試験を継続すると同時に、2本目の第3相試験となるDAYBREAK-ALZ試験が計画されている。この試験は2016年Q3 に被験者登録を開始して軽症AD 患者におけるAZD3293 の安全性と有効性を評価する。 参考:  BACE阻害薬としてはAZD3293のほかに、エーザイがバイオジェンと共同開発中のE2609にも進展があった。FDA との第2 相202 試験に関するEOP2ミーティングにおいて、第3 相臨床試験開始に向けた十分な非臨床、並びに臨床試験データが得られていることが確認され、今後実施する2 本の第3 相臨床試験プロトコルのデザインの概要が了承された。  第3 相臨床試験は早期AD 患者を対象にしたプラセボ対照試験とし、実薬群は50 mg /日の1 用量とする。主要評価項目は投与期間24 ヵ月における臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB)を用いる。 Link  企業分析 ➜ AstraZeneca   ➜ Eli Lilly   ➜ エーザイ  新薬開発➜ アルツハイマー病

アストラゼネカの 2 型糖尿病治療薬QTERN(サクサグリプチン/ダパグリフロジン配合剤)をECが承認

欧州委員会(EC)は、2 型糖尿病治療薬QTERN (DPP-4 阻害剤サクサグリプチンとSGLT-2 阻害剤ダパグリフロジンの用量比固定配合剤)に対する、EU 全加盟国28 ヵ国ならびにEEA-EFTA 加盟国のアイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェー における製造販売を承認した。本剤はEU で承認された最初のDPP₋4 阻害とSGLT₋2 阻害剤の配合剤である。米国ではリリーとベーリンガー・インゲルハイムが共同開発したGlyxambi(エンパグリフロジン/リナグリプチン配合剤)が昨年(2015年)2月に承認されている。 Link  企業分析 ➜ アストラゼネカ  新薬開発➜ 糖尿病  市場動向➜ 糖尿病―経口

メルク のPD-1阻害薬KEYTRUDAの頭頸部癌効能追加をFDAが承認

 メルク(MSD)の抗PD-1抗体キートルーダを「白金ベースの化学療法で治療中または治療後に病勢が進行した再発または転移性の頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)」の治療薬としてFDAが追加承認した。キートルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、200mgを3 週に1 回投与)の今回の効能追加は奏効率(ORR)と奏効持続期間(DoR)の評価に基づいて承認された。加速承認制度の下で承認されており、承認を維持するには確認試験で臨床上のベネフィットを検証することが義務付けられている。キートルーダ 使用に先立ってPD-L1 検査を必要としない。  承認の根拠となったKEYNOTE- 012 試験はORR が16%(95%CI;11, 22)、完全奏効が5%、奏効した患者の82%(n=23/28)が6 ヵ月以上奏効を持続した。 Link  企業分析 ➜ Merk(MSD) 、新薬開発➜ その他のがん

BMSのPD-1阻害薬OPDIVOが非小細胞肺癌を対象とした第3相試験で失敗

 Bristol-Myers Squib(BMS)のPD-1阻害薬オプジーボ(一般名:ニボルマブ)は「治療歴のない進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者」を対象としたCheckMate-026 試験において主要評価項目を達成できなかった。  CheckMate-026 は進行NSCLC 患者を対象に「オプジーボ単独療法」と「試験責任医師が選択した化学療法」を比較したオープンラベル、無作為化、第3 相試験である。ステージIV または再発NSCLC 患者で、化学療法歴がなく、PD-L1 発現陽性(≧5%)の患者541 名を登録した。オプジーボ群はオプジーボ 3 mg/kgを2 週に1 回静注。対照群は、扁平上皮癌患者では「医師が選択する化学療法」(「ゲムシタビン+シスプラチン」、または「ゲムシタビン+カルボプラチン」、または「ゲムシタビン+カルボプラチン」のいずれか)が投与された。非扁平上皮癌患者には「ペメトレキセド+シスプラチン」、または「ペメトレキセド+カルボプラチン」がそれぞれ病勢進行または耐え難い副作用が発現するまで、少なくとも6 サイクル投与された。主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は独立のX 線画像審査委員会が評価した。  BMS はCheckMate-026 試験の失敗を発表すると同時に、非小細胞肺癌の1 次療法として「オプジーボ+ヤーボイ」の併用療法CheckMate-227 試験など、継続中の包括的な開発プログラムへの期待を表明した。 Link  企業分析 ➜ BMS 、新薬開発➜ 肺がん  市場動向➜ 肺がん