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アンチセンス薬スピンラザ(SPINRAZA)をFDAが脊髄性筋萎縮症治療薬として優先承認

イオニス(Ionis Pharmaceuticals)が創製し、バイオジェンが共同開発したアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)薬スピンラザ(SPINRAZA、一般名:ヌシネルセン nusinersen)を脊髄性筋萎縮症(SMA;spinal muscular atrophy)に対する初の治療薬としてFDA が承認した。  遺伝性の希少疾患であるSMAは、脊髄および下位脳幹における運動ニューロンが欠損し、重篤で進行性の筋萎縮や筋無力症状を引き起こす。最も重篤なタイプのSMA 患者では呼吸や嚥下など生命維持の基本的身体機能に障害をもたらすことがある。病因はSMN(Survival Motor Neuron)1 遺伝子の欠損または損傷である。  FDA はSPINRAZAをファストトラックと希少病に指定していた。2016 年9 月26 日にローリング申請を完了、優先審査指定を受けて審査期間3 ヵ月での承認となった。欧州ではCHMP が加速承認に指定、日本では12 月12 日に申請されている。 Link  企業分析➜ Biogen  新薬開発➜ 核酸/アンチセンス

Dexcom 社の糖尿病用連続血糖モニタリングシステムをFDAが承認

FDA は糖尿病患者の治療における従来のfingerstick血糖検査法を置き換える、Dexcom社の「G5 mobile 連続血糖モニタリングシステム」を承認した。すでに、fingerstick法の補助手段として承認されていたが、今回の承認によりfingerstick 法による血糖レベルの確認なしに使用を決定できるようになった。 G5 Mobile連続血糖モニタリングシステムは、皮下に挿入した微小なセンサーワイヤを使用する(3 ヵ月有効)。測定結果はBluetooth ワイヤレス技術により、専用のレシーバー、またはスマートホンやタブレットなどの携帯デバイスへ5分毎にリアルタイム送信される。あらかじめ設定した血糖レベルを外れるとアラームで通知される。皮下の体液中のグルコースを測定するが、1 日2 回のfingerstick テストで得られた血液を使用してキャリブレートする必要がある。

PARP阻害剤ルブラカ(RUBRACA)を進行卵巣癌の治療薬としてFDAが加速承認

 FDAはClovis Oncology, Inc.が開発したPARP阻害剤RUBRACA(一般名:rucaparib)を、「化学療法による治療歴(2~3回)があり、FDAが承認するコンパニオン診断法でBRCA遺伝子病的変異が認められた進行卵巣癌」を適応症として承認した。RUBRACAは画期的治療法(BTD)および希少病薬の指定を受け、優先審査、審査費用の割引、上市後の独占期間延長、などの優遇策による支援を受けている。なお、FDAが同時に承認したFoundation Focus CDxBRCA コンパニオン診断法は、次世代シーケンシング(NGS)を用いた初のコンパニオン診断法である。  2回以上の化学療法歴のあるBRCA変異陽性の進行卵巣癌患者106人を登録した2本のシングルアーム臨床試験において、奏効率(ORR:主要評価項目)は54%、奏効期間の中央値は9.2 ヵ月であった。米国国立癌研究所(NCI)は、2016年に22,280人の女性が新たに卵巣癌と診断され、14,240人が本疾患で死亡していると推定している。卵巣癌患者の約15~20%にBRCA遺伝子の変異が認められる。 参考:  PARP阻害剤は、BRCA遺伝子が損傷しているがん細胞のDNA修復を阻害し、腫瘍の生育を減速・停止し、最終的に細胞死をもたらす。アストラゼネカが販売するオラパリブ(製品名Lynparza)は卵巣がん治療薬として2014年末に欧米同時に承認された。TESARO社が申請中のニラパリブ(niraparib)は卵巣がんで無増悪生存期間(PFS)を21か月へと4倍近く延長し、TESAROの株価は1年間で3倍となった。  BRCA遺伝子の変異は卵巣がんの他にも乳がん、前立腺がんでも確認されている。ヤンセン(J&J)はニラパリブを導入して前立腺がん治療薬として開発中。アッヴィが開発中のベリパリブは非小細胞肺がんを対象にカルボプラチン、パクリタキセルなど化学療法剤および放射線との併用療法としてFDAのオーファン指定を受けている。 Link  新薬開発➜ 婦人科がん  ➔ PARP阻害剤

リリーが開発中の経口JAK阻害剤OLUMIANTを関節リウマチ治療薬としてEMA/CHMPが承認勧告

欧州医薬品庁(EMA)は、中等度から重度の活動性関節リウマチの成人患者の治療薬としてOLUMIANT(一般名:baricitinib)の販売承認をECに勧告した。1剤あるいはそれ以上の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)に適正に反応しない、あるいは忍容性に問題の有る患者に使用される。OLUMIANTはEUで関節リウマチの治療に使用される最初のJAK阻害剤となる見通しである。単剤あるいはメトトレキサートとの併用で使用される。 承認勧告の根拠は、中等度から重度の活動性リウマチ患者3,100人を登録した4本の無作為化、対照比較試験の結果に基づいており、うち1本の試験はメトトレキサートとの比較試験、他の1 本はアダリムマブ(製品名:ヒュミラ)との比較試験、残る2本はとプラセボとの比較試験である。  最終的にOLUMIANTはメトトレキサートおよびアダリムマブにより治療した患者に比べて、中等度から重度の関節リウマチ患者の活動性をより効果的に抑制し、有効性は52 週の長期にわたり持続された。 (参考) JAK阻害剤として欧州で先行するJAKAVI(ノバルティス)は骨髄線維症治療薬として2011年11月に米国、2012年4月に欧州で承認された。ファイザーのJAK阻害剤ゼルヤンツは抗リウマチ薬として2012年に米国承認されたが欧州では未承認、売上高は500億円前後にとどまっている。 Link  企業分析➜ Lilly  新薬開発➜ 関節リウマチ   ➔ JAK阻害剤

米国糖尿病学会が2017 年糖尿病治療用新ガイドラインを発表、新たにGLP-1とSGLT-2を推奨

 米国糖尿病学会(ADA)の2017 年版糖尿病治療用ガイドライン「2017 Standards of Medical Care in Diabetes」がOnline公開された。Diabetes Care 誌(January 01, 2017; 40-Supplement 1)に掲載される。  今回のガイドラインは、「心理社会的ケア」、「体調の管理」、「肥満・栄養過多の患者の代謝手術」、および「低血糖を含む医療に関する改訂」に焦点をあてている。より精神面での健康管理と併存疾患への配慮するために糖尿病患者の、うつ病、不安症、食事障害などのスクリーニング法も組み込まれた。また、ライフサイクルマネジメントとして、座りがちな行動をとる場合には30分毎に休憩することを推奨し、睡眠の質が血糖管理に影響することから、患者の眠りのパターンに注意するよう勧告している。治療の選択肢として、以下が改訂された。 代謝手術(減量手術) : 血糖管理が不十分でBMIが40kg/m2以上の患者では血糖値の水準にかかわらず適応 (アジア系アメリカ人の場合は37.5kg/m2) 高血圧症の2型糖尿病患者 : アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)、アンジオテンシン受容体拮抗剤(ARB)、サイアザイド系利尿剤、カルシウムチャンネル拮抗剤(CCB)の4種の一次療法を含めるよう治療薬の使用枠を拡大 インスリン製剤アルゴリズム : 2型糖尿病患者に、より多くの選択肢を提供するよう勧告している。インスリン使用患者は個別にA1c目標値を達成するためのフローチャートを提示。 糖尿病と心血管系疾患に罹患している患者 : 脳卒中あるいは心筋梗塞(MI)を発症したことの有る患者をはじめ、急性冠症候群(ACS)、狭心症、あるいは末梢動脈性疾患(PAD)の患者には、新たにGLP-1受容体作動薬リラグルチド、およびSGLT-2阻害剤エンパグリフロジンの使用を検討するよう勧告。 (参考) 昨年(2016年)12月にリリーとベーリンガーが共同開発した SGLT-2阻害剤 エンパグリフロジン(商品名Jardiance)による「 心血管系死亡 のリスク低下」をFDAが認定、効能追加として承認された。これが早速、新ガイドラインに反映されている。SGLT-2阻害剤で先行するヤンセンのInvokana(一般名カナグリフロジン、田辺三...

PDE4阻害剤のアトピー性皮膚炎治療薬EUCRISA軟膏をFDAが承認

ファイザーが買収したAnacor Pharmaceuticals, Inc.(Anacor)が2016年6月に申請していたEUCRISA(一般名:crisaborole)軟膏を「2歳の小児以上の軽度から中等度の湿疹(アトピー性皮膚炎)」の治療薬としてFDAが承認した。EUCRISAはphosphodiesterase 4(PDE-4)阻害剤の2%外用薬で1日2回患部に塗布する。アトピー性皮膚炎における作用機序は明確ではない。Anacor はホウ素化学を技術基盤とする企業である。 本剤の安全性および有効性は、軽度から中等度のアトピー性皮膚炎の2~79歳の患者1,522人を対象とした2本のプラセボ対照臨床試験で確立された。EUCRISAを28日間投与された患者の皮膚は発症前の健常な状態をほぼ完全に取り戻すまでに改善された。2016年3月にNDA(新薬承認申請)を提出、審査ゴールは2017年1月7日に設定されていた。 (参考) サノフィとリジェネロンがアトピー性皮膚炎(AD)治療薬として共同開発している抗インターロイキンIL-4/13抗体のDupixent(デュピゼント、一般名デュピルマブ dupilumab)は2014年に米国FDAの画期的治療指定(BTD)を受け、2016年9月に承認申請(BLA)を提出、優先審査の指定を受け、審査終了期日は2017年3月29日に設定されている。デュピゼントは1~2週間おきに皮下注射する抗体医薬であり、外用薬のEUCRISAとの競合は限定的となる見通し。(➔ 参考記事 ) Link  企業分析➜ ファイザー  新薬開発➜ アトピー性皮膚炎

サノフィとリジェネロンがアトピー治療薬dupilmabの承認申請を欧州医薬品庁に提出

 サノフィとリジェネロン(Regeneron Pharmaceuticals, Inc.)が抗インターロイキンIL-4/13抗体のアトピー性皮膚炎(AD)治療薬Dupixent(デュピゼント、一般名デュピルマブ dupilumab)の承認申請を欧州医薬品庁(EMA)に提出した。IL-4とIL-13は、アレルギー反応に重要と考えられているTh2反応の開始と維持にキーとなるサイトカインである。米国では2014年に画期的治療指定(BTD)を受け、2016年9月にFDAへの承認申請(BLA)を提出、優先審査の指定を受け、審査終了期日は2017年3月29日に設定されている。成人ADに加えて小児AD、喘息、鼻腔内ポリープ、好酸球性食道炎を対象として臨床試験が進行中。承認されれば、サノフィの子会社Sanofi Genzymeとリジェネロンが販売する。 今回の欧州申請(Marketing Authorisation Application, MAA)は合計2,500人以上の患者を登録した臨床試験プログラム「LIBERTY AD」に含まれる3本の主要試験に基づいている。外用剤でコントロール不十分な中等度から重度の成人AD患者を対象に、2本の試験(SOLO 1、SOLO 2)は単剤投与、もう1本の試験(CHRONOS)は外用ステロイド剤と併用された。   Link  企業分析➜ サノフィ  新薬開発➜ アトピー性皮膚炎

ノボノルディスクがGLP-1アナログの週1回投与製剤semaglutideの承認申請を欧米当局に提出

 ノボ ノルディスクは8,000人以上の成人2型糖尿病患者を登録し、GLP-1アナログ製剤semaglutide(セマグルチド)を経口抗糖尿病薬および基礎インスリンとの併用療法として評価した臨床試験「SUSTAIN」を根拠として申請した。SUSTAINプログラムは7本のフェーズ3a試験(SUSTAIN 1~5、SUSTAIN Japan単独投与、SUSTAIN Japan経口剤併用)、および心血管系アウトカム試験(SUSTAIN 6)で構成されている。  対照群(DPP-4阻害剤シタグリプチンと1日1回インスリングラルギンの併用)に対して、セマグルチドの追加投与(週1回)は持続的に血糖値コントロールを改善することが証明された。さらに、心血管系アウトカム試験SUSTAIN 6は心血管系リスクと平均体重の低下を証明した。  GLP-1はインスリン分泌を刺激し、血糖値に応じてグルカゴンの分泌を抑制し、食欲および摂食量を減らす。GLP-1アナログ製剤であるセマグルタイドはFlexTouch®(インスリンペン型注入器フレックスペン)と同じ技術のプレフィルド・シリンジ(薬剤充填済み注射器)で販売される予定。 (参考)  ノボノルディスクはGLP-1アナログ製剤市場で最大となる27億ドル(2700億円、2015年)を売り上げるVictoza®(ビクトーザ、一般名リラグルチド)を販売している。ビクトーザは1日1回投与の皮下注射製剤である。競合するアストラゼネカのエキセナチド(一般名)製品はバイエッタ(Byetta)が1日2回)、ビデュリオン(Bydureon)が週1回の皮下注射、売上高は合計して9億ドル(900億円)足らずである。リリーが開発した週1回投与のGLP-1受容体アゴニスト製剤Trulicity®(一般名デュラグルチド、duraglutide)は2014年9月に承認され、2015年売上高は2.5億ドル(250億円)にとどまっている。  年間72億ドル(7200億円、2015年)を売り上げる糖尿病領域の最大製品ランタス(インスリングラルギン製剤)を販売するサノフィは本年(2016年)7月にGLP-1アナログ製剤Adlyxin®(アドリキシン、一般名リキシセナタイド)のFDA承認を取得、続いて11月にはランタスとの合剤Soliqua®(ソリクア)の承認を取得した。いずれも1日...

ノバルティスがCAR T 療法CTL019による再発・難治性B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)の臨床試験結果を発表

 ノバルティスのキメラ抗原受容体T 細胞(CAR T)療法CTL019について、再発/難治性(r/r)の小児および若年成人のB細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者を対象としたELIANA試験の結果が第58 回米国血液学会(ASH)年次総会で発表された。  小児用CAR T細胞療法として最初の臨床試験で、米国、欧州連合、カナダ、オーストラリアおよび日本の25施設が参加した。参加者の48%に、グレード3/4のサイトカイン放出症候群(CRS)が発現した。CRSは遺伝子操作を行った細胞が体内でコントロール不能となって発症する。  ELIANA試験では使用に先立ちCRS対処法を教育し、管理することにより、死亡例は1 例もなかった。15%の患者が、グレード3の脳症および幻覚症状を含む神経性および精神性イベントを発症したが、グレード4の症例は発生しなかった。CTL019投与から3ヵ月後に82%(n=41/50)が完全寛解(血球数の回復が不完全の例を含む)を達成し、CTL019インフュージョン後6ヵ月の時点における推定無再発率は60%(95%CI; 36, 78)であった。 Link  企業分析➜ Novartis  新薬開発➜ 血液がん