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HDAC 阻害剤ボリノスタットとベバシズマブの併用が腎細胞癌患者の生存期間を延長

 クラスII ヒストン 脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤ボリノスタット(商品名ゾリンザ 、米メルク)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)阻害剤ベバシズマブ(商品名アバスチン、ロシュ)の併用療法を明細胞腎細胞癌(CCRCC)患者を対象として評価した第1/2 相試験の結果が、British Journal of Cancer. [( (21 February 2017) | doi:10.1038/bjc.2017.33)]に発表された。  汎HDAC 阻害剤は、腫瘍やコンパ―トメントの内壁のパスウェイを障害することにより血管新生を阻害する。一方、クラスII のHDAC 阻害剤は低酸素症誘導因子-1 および₋2a の分解を誘導し、VEGF 阻害剤との併用により抗腫瘍効果を発揮するとされている。  試験の概要:これまでにスニチニブ、ソラフェニブ、アキシティニブ、IL-2、インターフェロン、またはテムシロリムスを含む2 回の前治療歴を有する36 人のCCRCC 患者を登録し、ボリノスタット200 mg 1 日2 回(BID)を2週間に1 回、ベバシズマブ15 mg/kg を3週間に1回投与した。6 ヵ月間の無増悪生存率と安全性を主要評価項目とした。評価対象患者33人の内訳は18 人が1 回の前治療歴、13 人が2 回の前治療歴があり、残る2 人は治療歴の無い患者であった。全体で、6 人(18%)が奏効(ORR)を達成し、うち1 人が完全奏効(CR)、5 人が部分奏効(PR)を示した。19 人の病勢が安定しており、うち2 人が2 年以上の確定奏効を達成した。試験に参加した評価対象の48%が6 ヵ月の時点で無増悪を示し、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.7 ヵ月(95%CI;4.1, 11.0)、全生存期間(OS)中央値は13.9 ヵ月(95%CI; 9.8, 20.7)であった。 (参考) ゾリンザはFDAが承認した初めてのHDAC阻害剤である。メルクが開発し、皮膚T細胞性リンパ腫( cutaneous T cell lymphoma 、CTCL)の治療薬として2006年に発売された。日本では大鵬薬品が希少疾病用医薬品の指定を受け、2011年に発売した。 Link  新薬開発➜ 腎細胞がん

抗PD-L1抗体アベルマブの転移性尿路上皮癌に対するBLAをFDAが受理

 抗PD-L1 抗体アベルマブを 共同開発している独メルク(Merck KGaA)とファイザーが提出した二つ目の新薬承認申請(BLA)をFDAが受理した。アベルマブの最初のBLA 申請は、昨年(2016 年)11 月にMerkel 細胞癌に対して提出され、画期的治療(Breakthrough Therapy)および優先審査 の指定を受けている。今回の申請は、「白金製剤ベースの治療中または治療後に病勢が進行した、局所進行または転移性尿路上皮癌(mUC)」を対象とし、優先審査で受理された。ユーザーフィー法(PDUFA)による審査期限は8月27日に設定された。  アベルマブの国際共同臨床試験プログラム「JAVELIN」は9本の第3相試験を含む30本を上回る臨床プログラムからなり、4,000 人以上の被験者を対象に15癌腫以上の癌の評価を進めている。局所進行・転移性UC患者の1次療法への格上げをめざす第3相「JAVELIN Bladder 100」試験が2015年12 月に開始されている。独メルク(Merck KGaA)とファイザーは2014 年11 月に戦略的提携契約を締結し、本剤の共同開発を開始した。米国でのファイザーとの共同開発は独メルク の米子会社EMD Serono が担当している。   Link   ➜ 独メルク(Merck KGaA) 、治療分野➜ 腎細胞がん(RCC)

ファイザーのエタネルセプト (LIFMIOR) のEU 承認、バイオシミラーでなく初のジェネリック生物薬品

ファイザーのエタネルセプトは、バイオシミラーではなくジェネリック生物薬品としてEUで承認された。抗体医薬の販売承認保持者による当該ジェネリック製品の承認取得は、今回が初めてである。エンブレルのEU 基本特許は2015 年に失効しており、2016 年1 月には、韓国Samsung Bioepis UK がECからBENEPALI(エタネルセプト)の販売承認を取得、販売パートナーのバイオジェンが同時にEU に上市した。バイオジェンは2016 Q3 までに約3,000万ドルの売上を報告している。これに対してファイザーの今回のLIFMIOR承認取得は、2016年8月に販売承認を申請するなど、一呼吸遅れ気味であるがBENEPALIの動きに刺激されものと推測される。 米国や日本と異なり、先発企業のジェネリック対策の最後の手であるオーソライズド・ジェネリック制度はEUにはない。今回のように、他社のバイオシミラーに対抗して、先発薬と同じBoehringer Ingelheim Pharm KGが供給するエタネルセプト の原薬を含み、同Wyeth Pharmaceuticalsが出荷する同じ製剤で、名称だけが異なるジェネリック品を、先発薬メーカーが対抗して同様の低価格で発売する。この戦略にバイオシミラー参入企業の対抗策は価格競争しか残されていない。 LINK   Pfizer    バイオシミラー

敗血症の起因菌を同定し、感受性抗菌剤を選択する検査機器をFDAが認可

 承認されたPhenoTest BC Kitは極めて短時間で敗血症の起因菌を同定し、有効な抗菌剤を選択する自動検査システムである。アリゾナ州ツーソン(Tucson) に拠点を置くAccelerate Diagnostic Inc.が開発した。  血流感染症の治療が迅速に行われないと、敗血症性ショックなどの重篤な合併症を引き起こすことが多く、死に至ることもある。しかし、従来型の起因菌同定法や抗生剤に対する感受性試験では検査結果が得られるまでに24 時間から48 時間を要していた。PhenoTest BC Kit は、血液培養から1.5 時間で菌種を同定し、さらに6.5 時間後に推奨する抗菌剤を提示できるシステムである。血流感染を引き起こすことが知られている細菌14 種および酵母2 種を同定する。菌種同定は、細菌や酵母の菌種特有のDNAとの類似性で判定する。抗生剤に対する感受性は、血液培養から分離した菌株と抗生剤をインキュベートし、菌の増殖を低速度撮影画像により判定する。主要な臨床試験から収集した1,850の血液培養陽性サンプルを対象にこの検査法を実施した結果は正確度95%以上だった。

抗IL-17 受容体抗体brodalumabを中等度~重度の尋常性乾癬治療薬としてFDAが承認

Valeant PharmaceuticalsがBLA申請していた。Brodalumabの有効性と安全性は、中等度から重度の成人の尋常性乾癬患者4,373 人を対象に実施した、3 本の無作為化、プラセボ対照、第3相試験で確立された。しかし、自殺志向および自殺行為が、臨床試験中に発生したことから、Brodalumabのラベルには警告が記載され、処方制限の下で使用される。また、本剤が免疫抑制作用を有することから、感染症あるいはアレルギーあるいは自己免疫疾患のリスクが高まること、特にクローン病および活動性結核患者には治療開始の際は十分に考慮すべきことが記載されている。 (参考) Brodalumabを創製したアムジェンは前述の自殺企図が問題となった2015年にアストラゼネカとの共同開発から撤退し、アストラゼネカはカナダのValeant社にサブラインセンスした。日本では協和発酵キリンが2015年7月に「局面型皮疹を有する」乾癬を適応症として国内承認申請を行った。IL-17阻害薬として先行するセクキヌマブ(商品名コセンティクス、ノバルティス)は2015年1月にFDAが承認し、2016年の売上高は11億㌦(1200億円)を超えた。2016年に発売されたイクセキズマブ(商品名タルツ、リリー)の10-12月期の四半期売上は0.6億ドルにとどまった。

エタネルセプトの後発品としてファイザーのLIFMIORが全ての効能でEC承認を取得

欧州委員会(EC) は、ファイザーが申請していたTNF-α阻害剤エタネルセプト(商品名:エンブレル)のジェネリック製品LIFMIOR を関連するすべての適応症で承認した。2016 年8 月申請、2016年12 月CHMP 承認勧告、そして2017 年2 月EC 承認と、約6カ月間の迅速な審査だった。 エンブレルが持つ効能(関節リウマチ、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、軸性脊椎関節炎、強直性脊椎炎、レントゲン所見の無い軸性脊椎関節炎、尋常性乾癬、小児の尋常性乾癬などが含まれる)の全てが承認された。オリジナル製品を欧州で販売してきたファイザーがジェネリック製品に切り替えてバイオシミラーに対抗する動きとみられる(羽石ファーマニュース)。エタネルセプトのバイオシミラー製品は、EUではサンド(ノバルティス子会社)のErelziなど2 品目が承認されている。 Link  企業分析➜ ファイザー  

デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬としてコルチコステロイドEMFLAZA をFDAが承認

 進行性の筋肉の壊死や脆弱化を惹起する稀な遺伝子変異による疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の5 歳以上の患者の治療薬として承認された。FDAは本剤に対してファストトラック/優先審査、および希少病薬指定を賦与していた。また、「小児の希少病治療薬の開発」に該当するため、開発したマラソン製薬(Marathon Pharmaceuticals, LLC)に「優先審査バウチャー」が発行された。  EMFLAZA(一般名:deflazacort)は、コルチコステロイドのプロドラッグで、活性代謝物21-desDFZ はグルココルチコイド受容体に作用して抗炎症作用、免疫抑制作用を示す。FDA がDMD 治療薬としてコルチコステロイド化合物を承認するのは初めてであり、新規化合物(NME)として扱われた。しかし、DMD 患者に対する有効性の機序は不明である。年間薬価は89,000ドルと予想されている。  承認申請の根拠となったのは、米国とカナダで実施された無作為化、二重盲検、プラセボ 対照試験Study 1の結果である。dystrophin 遺伝子変異の診断書のある、5 歳以下で筋力低下が認められ、血清クレアチニンキナーゼ活性が正常域の上限(ULN)の少なくとも10 倍を示す5 歳から15 歳の男児196人が登録された。有効性はベースラインと12 週時点における18 の筋肉グループの平均の筋力の変化で評価した(個々の筋力はMedical Research Council(MRC)11-point スケールで評価)。

既製/他家CAR T 細胞療法によるAML治療のIND申請

 遺伝子編集によるCAR T細胞(UCART)を使用した癌免疫療法を開発するフランスのバイオ企業Cellectis が独自のTALEN®遺伝子編集技術により創製した。その開発品中で最も先行しているUCART123 による、急性骨髄性白血病(AML)及び芽球性形質細胞様樹状細胞性腫瘍(BPDCN)患者を対象にした第1 相試験のIND がFDA から承認された。同種異系のレディーメードのCAR T細胞療法の臨床試験の実施をFDA が承認するのは初めてとなる。NIH の諮問委員会も臨床試験の開始を推奨している。  従来のCART 療法は患者から採取したT 細胞を遺伝子操作により処理して、同じ患者に戻す方式であるが、今回の同種異系の細胞療法は、複数の健常人の血球をプールして一つの出発材料から作成し、複数の患者に投与できる。Cellectis の製造法は下記のように100 人分を一度に製造し、既製製品(off-the-shelf)として使用迄貯蔵ができ、直ぐにグローバル供給が可能である。現在の製造コストを1 回投与分4,000ドル以下と試算し、他社の想定薬価の50 分の1 に削減可能。  UCART123 は、AML およびBPDCN の腫瘍細胞の表層に発現しているCD123 抗原を標的とする遺伝子編集CAR T 細胞療法候補である。AML の臨床試験はニューヨークのWeill Cornell 医科大学が、BPDCN の臨床試験はテキサス州ヒューストンのMD Anderson 癌センターがそれぞれ主導する予定である。 LINK     Immuno-oncology     CAR T 細胞療法     Acute Myeloid Leukemia (AML)

RASペプチドとGM-CSFを同時に皮下注射する癌免疫療法が膵癌切除患者の2 年生存率68%を達成

 ノルウェーのオスロを拠点とするTargovax社が、膵癌切除患者を対象にRASペプチドを製剤化したTG01とアジュバント(GM-CSF)を 標準療法のゲムシタビン化学療法と併用した第1/2 相臨床試験CTTG01-01の最初のコホート解析で有望な生存データが得られたと発表した。  RAS 変異は多くの癌種に認められ、患者の予後は非常に厳しい。膵癌の85%にRAS変異が認められている。CTTG01-01試験はゲムシタビン 6 サイクルと同調させて、G01/GM-CSF を36 回投与した。最初のコホート(19人)の2 年生存率は、投与開始の平均2 カ月前となる切除手術から計算すると68%(13/19)、投与開始時点から計算すると63%(12/19)だった。公表文献から集計されたゲムシタビン単剤投与の2年生存率30%~53%を上回った。 LINK   すい臓がん     腫瘍免疫(IO)

オプジーボが「治療歴のある局所進行/転移性尿路上皮癌」の追加効能を取得

 治療歴を有する局所進行または転移性尿路上皮癌(mUC)の治療薬として FDA が承認した。オプジーボは、ほぼ2年間で6種の癌腫に対する効能を取得したことになる。 追加申請は2016 年9月2日に提出され、FDA は優先審査品目として受理した。2016 年6 月には「白金製剤を含む化学療法による治療中または治療後に病勢が進行」、または「白金製剤を含む化学療法による術前または術後の補助療法から12 ヵ月以内に病勢が進行」した、局所進行または転移性の尿路上皮癌を対象としてBreakthrough Therapy に指定されていた。  第2相、多施設、非盲検、単群、臨床試験であるCheckMate-275 試験は奏効率(ORR)を主要評価項目とし、患者の19.6%(95%CI:15.1 - 24.9; 270 例中53 例)が、オプジーボによる治療に奏効を示した。完全奏効を達成した患者割合は2.6%(270 例中7 例)、部分奏効達成患者の割合は 17%(270 例中 46 例)であった。奏効例において、奏効期間の中央値は10.3 ヵ月(範囲:1.9+~12.0+ヵ月; +は打ち切り値)であった。奏効までの期間の中央値(TTR)は 1.9 ヵ月(範囲: 1.6~7.2 ヵ月)であった。被験者の年齢の中央値は66 歳(範囲:38~90 歳)、患者の 29%が本試験への登録前に 2 種類以上の全身療法を受けていた。本試験において、患者は PD-L1 の発現状態に関係なく組み入れられた。本試験データは、2016年欧州臨床腫瘍学会で発表された。 参考:PD-1/L1阻害剤の適応症として「膀胱がん」が認められるのはロシュのPD-L1阻害剤テセンテリク(一般名:アテゾリズマブ)に続いて、オプジーボが2剤目となる。テセンテリクは「進行性膀胱がん」が初回承認(2016年5月)、つづいて10月に「転移性非小細胞肺癌の二次療法」が承認されている。PD-1/L1阻害剤による膀胱がん治療は他にも、ダーヴァルマブ(アストラゼネカ)が昨年12月に申請(初回)、キートルーダ(メルク)とアヴェルマブ(独メルク/ファイザー)はフェーズIII段階にある。 Link     Bristol-Myers Squibb     小野薬品     尿路上皮・...