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CAR-T細胞療法CTL019の承認申請をFDAが優先審査に指定

 開発したノバルティスにとっては初めてのCAR-T細胞療法の承認申請である。申請効能の「小児及び若年成人の再発/難治性(r/r)B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)」は2014 年にFDAから画期的治療法(Breakthrough therapy, BT)指定を受けている。同様のCAR-T細胞療法として競合するKite Pharma, Inc.のKTE-C19 (axicabtagene ciloleucel)は「悪性の非ホジキンリンパ腫」を対象としてBT指定を受け、2016年1月からローリング申請を進め、2017年3月31日に最終申請を完了した。ノバルティスはこれを追い抜き、BLA申請を2 日早く提出することに成功した。  CAR-Tはこれまでの低分子薬や生物学的製剤と異なり、個々の患者用に個別に調製する細胞療法である。患者の血液からT細胞を採取し、患者の癌細胞や特定の抗原を発現しているB細胞を死滅させる遺伝子をコードしたT細胞を創製するために  in vitro で再プログラム化を行う。申請根拠となるELIANA試験 (NCT02435849)は米国、EU、カナダ、オーストラリア、および日本における25施設で実施された。CAR-T細胞インフュージョン投与後3ヵ月の時点で、患者の82%(41/50)が完全奏効または血球数の回復が一部不完全ながら完全奏効を達成した。このフェーズII段階の成果が昨年(2016年)12月の米国血液学会で報告された。組み換えT 細胞が患者の体内で活性化されることで発症する副作用として、48%の患者がグレード3又は4のサイトカイン放出症候群(CRS)を経験した。しかし、事前にCRS対処法アルゴリズムの実施方法を教育しておけば、プロトコルに指定した治療法で管理可能であり、CRSによる死亡例の報告は無かった。15%の患者に神経系および精神性イベントが報告された。 Link  海外R&D➜  血液がん   CAR T細胞療法   ノバルティス

アトピー性皮膚炎治療薬として初めての抗体医薬品となるデュピゼント(DUPIXENT)をFDAが承認

サノフィとRegeneronが開発した抗IL-4/IL-13抗体デュピルマブ(dupilumab)である。FDAは「外用薬で適切にコントロールできない、あるいは外用薬が使用できない」成人の中等度から重度のアトピー性皮膚炎(AD)治療薬として承認した。充填済み皮下注シリンジで300mgを1週間または2週間に1 回自己注射する。 承認の根拠となった臨床試験「グローバルLIBERTY AD」は1週間に1回(Q1W)単独投与のSOLO-I、2週間に1回(Q2W)単独投与のSOLO-II、および外用ステロイド剤(TCS)と併用した長期投与(52週間)のCHRONOS、以上3本の第3相試験からなり、総数2,119人の患者を登録した。 投与期間16週間のSOLO-IおよびSOLO-II試験では、Q1W単独投与で38%(vsプラセボ10%)、Q2W単独投与で36%(9%)の患者が試験担当医による判定で「クリアまたは殆どクリアな皮膚」(クリア皮膚)に改善した。湿疹面積および重篤度インデックス点数の75%以上改善(EASI-75)で定義された「湿疹の縮小」は、Q1Wで51%(5%)、Q2Wで44%(12%)の患者が達成した。 TCS併用のCHRONOS試験における「クリア皮膚」は16週時点で39%(12%)となり、単独投与と同水準だった。52週時点のEASI-75達成率はQ1W投与64%をQ2W投与69%が上回った。16週時点のEASI-75はQ1Wが40%、Q2Wが36%、プラセボは12.5%だった。 (参考) アトピー性皮膚炎はこれまで新薬開発が進んでいない領域である。抗IL-4/IL-13抗体デュピルマブはRegeneronが開発したVerocimune技術(マウスの遺伝子組み換えを用いる完全ヒト抗体作成技術)によって創出され、2014年11月にFDAのブレークスルー治療指定(BTD)、2016年9月に申請、優先審査となっていた。年間治療費4万㌦近い価格が設定されており、売上高10億ドルを超えるブロックバスターとなる見通しである。 Link  企業分析➜ サノフィ 、新薬開発➜ 炎症、アレルギー

抗PD-L1 抗体バベンシオ(BAVENCIO、一般名:avelumab)を転移性メルケル細胞癌治療薬としてFDAが承認

BAVENCIO静注用製剤20 mg/mL のBLA 申請はファイザー と共同開発する独メルク(Merck KGaA) の米国バイオ医薬品事業部門EMD Serono が2016年9 月に提出していた。転移性メルケル細胞癌(mMCC)は悪性で進行が早い皮膚癌で、1 年以上生存する患者は半数以下、5 年以上の生存率は20%以下とされている。希少病指定の成人および12 歳以上のmMCC治療薬として、加速承認制度並びにBreakthrough Therapy(画期的治療)指定の下で優先審査により承認された。審査期間は優先審査規定の6 ヵ月であった。 安全性と有効性はJAVELIN Merkel 200試験で証明された。オープンラベル、シングルアーム、多施設試験で、遠隔転移病変の治療用として投与された化学療法中、あるいは治療後に進行した病理組織から、mMCCと確定診断された患者88名を対象に実施された。登録患者の65%が前治療歴1回、35%が2ないし3回の前治療歴を有していた。全奏効率(ORR)は33%(95%CI; 23.3, 43.8%)で、うち11%の患者が完全奏効(CR)(95%CI; 6.6, 19.9%)、および22%の患者が部分奏効(PR) (95%CI; 13.5, 31.7%)を示した。奏効患者の86%が6ヵ月以上持続(n=25)、45%が12 ヵ月持続し(n=13)、奏効期間(DoR)の範囲は2.8 ~23.3 ヵ月。 (参考) 抗PD-1受容体抗体製品の2016年売上高はオプジーボ(BMS)37億㌦(4000億円)、キートルーダ(MSD)14億㌦だった。初回承認の悪性黒色腫ではキートルーダ(2014年9月)がオプジーボ(2014年12月)に先行した。しかし、肺がんの効能追加では逆転してオプジーボ(2015年3月)がキートルーダ(2015年10月)に半年あまり先行し、実質発売2年目の売上高で大差をつけた。PD-1受容体のリガンドであるPD-L1に対する抗体として開発されたテセントリク(ロシュ)は昨年(2016年)5月に膀胱がん効能で承認され、10月には肺がん効能が追加されたが2016年売上高は1.5億㌦にとどまった。肺がん効能が本格的に寄与する2017年の売上拡大が期待される。ファイザー/独メルクのBAVENCIOもテセントリクと同様に抗PD-L1抗体で...

Newron Pharmaceuticals が開発したパーキンソン病治療薬XADAGOをFDAが承認

XADAGO(ザデイゴ?、一般名 safinamide)はMAO-B阻害剤で、FDAはレボドーパ/carbidopa服用患者の追加療法として承認した。「目まいや歩行困難などのパーキンソン病の症状の悪化をもたらし、既存の抗パーキンソン病薬では十分な効果が得られないオフ症状を呈しているパーキンソン病患者」を対象とする。FDA がパーキンソン病の治療薬を承認するのは10数年ぶりとなる。パーキンソン病は米国で100万人、世界全体で700万人~1,000万人が罹患している。 (参考1)パーキンソン病の治療にXADAGOが有効であるとのエビデンスは、レボド―パを使用中で、オフ状態にある645人の患者を登録した臨床試験で示された。これらの患者にXADAGOを上乗せ投与すると、プラセボに比べて、より長時間オン症状を呈し、意志に反した動作がなくなり、パーキンソン病特有の症状が減少することが示された。また、レボド―パ使用中の549人の患者を対象にした別の臨床試験で、XADAGOの上乗せ投与により、プラセボに比べて、オフ症状の時間を短縮してオン症状の時間をより延長する結果が得られた。XADAGOは、Merck Seronoが臨床開発を進めていたが、2014年にNewronに開発権を移管した。(羽石ファーマニュース) (参考2)Newron Pharmaceuticalsはイタリアのミラノ近郊を拠点とするバイオファーマ企業である。日本でのXADAGOの開発権はMeijiSeikaファルマが保有している。2015年2月に欧州委員会の販売承認を取得、2016年中にドイツ、英国、イタリア、スペインなどで発売されているがフランスでは未発売の模様。 Link  新薬開発➜ その他の中枢神経障害

韓国セルトリオンが申請したBSリツキシマブ製品TRUXIMAを欧州委員会(EC)が承認

 韓国の大手バイオ企業セルトリオン が開発したTRUXIMA がEC承認を取得した。ロシュの最大製品リツキサン/MABTHERA(一般名:リツキシマブ) に対するBS(バイオシミラー)製品である。セルトリオンは2013年に抗リウマチ薬インフリキシマブ(商品名レミケード、J&J)に対するバイオシミラー製品の承認を取得しており、2品目目の成功である。 リツキシマブのバイオシミラー製品が承認されるのは初めてである。非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、関節リウマチ(RA)、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、顕微鏡的多発性血管炎(MPA)の治療など、先発薬の承認効能が全て認可された。  セルトリオン は2002年にバイオシミラー・抗体薬企業として創設され、2010 年には日本にも流通ネットワークを設立している。2012年には韓国FDAがREMSIMA(一般名:インフリキシマブ)を承認、ECは2013年10 月に承認した。抗HER2受容体抗体トラスツズマブ(商品名ハーセプチン、ロシュ)のバイオシミラーも開発中。 [参考]  セルトリオン の生産能力:モノクローナル抗体を製造するコ14万リットル のコマーシャルスケールの動物細胞培養設備を保有している。米国および欧州のcGMP規則に準拠したシステムを採用している。今後の需要増加を見込んで生産設備を23万リットルまで拡張する計画である。 Link ➜ バイオシミラー

アムジェンがPCSK9 阻害剤evolocumab(商品名レパーサ)の心血管系疾患患者に対する臨床アウトカム成績を発表

アムジェンの抗PCSK9 抗体evolocumab の心血管系疾患患者に対する臨床効果を検証したFOURIER 試験の結果がN Engl J Med誌上に掲載された。FOURIER試験は、スタチン療法中のアテローム性動脈硬化症患者27,564 人を登録した、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験である。患者はLDL-C が70 mg/dL以上で、evolocumab群[140 mg Q2W、または420 mg QM]、またはプラセボ群 の何れかに無作為に割付けられた。主要評価項目は心血管死、心筋梗塞、または脳卒中の複合評価であった。フォローアップ中央値は2.2 年。 48 週の時点で、プラセボと比較して、最小二乗平均のLDL-C 低下のパーセンテージが ベースラインの中央値92 mg/dLから30 mg/dLと59%の低下を達成した(P<0.001)。 プラセボ に比べてevolocumabは有意に主要評価項目のリスクを軽減した[1,344 人(9.8%) vs. 1,563 人(11.3%)、ハザード比(HR)=0.85; 95%CI; 0.79, 0.92;p<0.001]。重要な副次評価項目 [816 人(5.9%) vs. 1,013 人(7.4%); HR=0.80; 95%CI; 0.73, 0.88; p<0.001]も達成された。また、LDL-C レベルのベースライン [中央値;74 mg/dL] の最低の4 分位の患者のサブグループを含め、重要なサブグループを通じて同様の効果を示した。 (参考) アムジェンの株価は米国心臓病学会(ACC)におけるFOURIER試験の成績発表直後に6%下落した。好成績ではあるが高薬価を正当化できるほどの素晴らしい成績ではない、という評価となった模様。 LINK    アムジェンAmgen   Cholesterol (market)

ノバルティスのCDK4/6 阻害剤KISQALI(キスクワリ?)をHR+/HER2-乳癌の1 次療法としてFDAが承認

FDAはCDK4/6 阻害剤KISQALI(一般名:リボシクリブ ribociclib 、LEE011)を「閉経後女性のホルモン受容体(HR)陽性、ヒト上皮細胞成長因子受容体2(HER2)陰性(HR+/HER2-)の進行または転移性乳癌」に対する初回の内分泌療法(アロマターゼ阻害剤)との併用療法として承認した。昨年(2016年)8月にFDAのBreakthrough Therapy指定を取得、2016年11月に承認申請、優先審査に指定されていた。 MONALEESA-2試験は、治療を受けていない閉経後のHR+/HER2-進行乳癌患者668人を対象として、KISQALIとアロマターゼ阻害剤(レトロゾール)の併用療法とレトロゾール単剤療法を比較した。「KISQALI+レトロゾール」併用療法は、レトロゾール単剤療法に比べて病勢の進行あるいは死亡のリスクを44%軽減した [PFS中央値は未定(95%CI;19.3ヵ月以上) vs. 14.7ヵ月(95%CI;13.0-16.5ヵ月);HR=0.556 (95% CI: 0.429-0.720); p<0.0001]。その後11ヵ月の追加フォローアップ後の解析におけるPFS中央値は、併用療法群25.3ヵ月、単剤療法群16.0ヵ月となった。全生存期間についても改善が続いているため未定である。 ノバルティス は、MONALEESA臨床試験プログラムを通じてKISAQALIの評価を継続している。MONALEESA-3試験では「内分泌療法の治療経験の無い、あるいは最大1 回の治療経験のあるHR+/HER2-進行乳癌の閉経後の女性」に対して「KISQALI+フルベストラント(抗エストロゲン薬)」併用療法 とフルベストラント単剤療法を比較している。 (参考) CDK4/6阻害剤として先行するファイザーのアイブランス(IBRANCE、一般名パルボシクリブ)は2015年2月にFDA承認を取得、売上高は2015年7億㌦、2016年21億㌦(2100億円)と好調である。ノバルティスのKisqaliはFDAが承認した2番目のCDK4/6阻害剤となった。さらに、リリーのアベマシクリブは昨年6月のASCO総会で抗ホルモン療法不応患者におけるフェーズII段階の 好成績を発表 している。 Link  企業分析➜ ノバルティス  治療分野 ➜ ...

夜間頻尿の治療薬としてデスモプレシン(desmopressin acetate)の経鼻スプレー(商品名 NOCTIVA )をFDAが承認

夜間に尿が過剰生成される「夜間多尿症」として知られている症状により、夜間に少なくとも2回の睡眠中断が起きる成人を対象として承認された。一日一回、就寝30分前に経鼻スプレーする。夜間多尿症による夜間頻尿に限定して承認され、医療提供者は24時間尿採取など、夜間の尿の過剰生成を確認する必要がある。2016年10月開催のFDA 骨・生殖・泌尿器薬諮問委員会で賛成14:反対4で承認勧告された。 (参考)  開発したセレニティ社(Serenity Pharmaceuticals)は米国ペンシルバニア州ミルフォードを拠点とする非公開のバイオベンチャー企業である。NOCTIVAを販売する目的で提携していたアラガンは今回の承認と同時にセレニティとの契約を解消し、撤退した。特許満了となった化合物を新たな効能で再開発する「Re-profile」、「Re-positioning」といった開発製品の高薬価に対する反発が高まったことが背景にある。最近ではデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の治療薬として承認されたコルチコステロイド化合物EMFLAZA(Marathon Pharmaceuticals LLC)に設定された年間9万ドル(1000万円)近い高薬価が社会問題となっている。