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5月, 2018の投稿を表示しています

デュルバルマブ、切除不能ステージIII 非小細胞肺癌に対する第3 相試験で全生存期間を有意に延長

アストラゼネカ とグローバル生物薬品研究開発部門のMedImmune は、放射線療法(CRT)と同時に白金製剤ベースの化学療法後に進行していない切除不能ステージIII の非小細胞肺癌(NSCLC)患者を対象にした、デュルバルマブ (海外の製品名:IMFINZI)の無作為化、二重盲検、プラセボ対照、マルチセンター試験の第3相PACIFIC 試験において、全生存期間(OS)の延長を示す試験結果が得られたと発表した。 PACIFIC試験は、米国、カナダ、欧州、北および中央アメリカ、日本、韓国、台湾、南アフリカ、およびオーストラリアを含む26カ国、236センターで実施された。試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS) とOS、副次評価項目は、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)などである。PFSに関しては、2017 年 5 月、中央値がプラセボ群 に比べて 11.2 カ月改善されたことが発表されている。

希少遺伝病フェニルケトン尿症治療薬PALYNZIG(pegvaliase-pqpz)をFDAが承認

FDA は、BioMarin Pharmaceutical Inc.(BioMarin)が開発中のPALYNZIG(pegvaliase-pqpz)注射用製剤について、既存の治療法ではフェニルアラニン(Phe)の血中濃度が600 μMol/ L 以上でコントロールできていない、成人のフェニルケトン 尿症(PKU)患者に対して承認した。 PALYNZIG は、 PEG 化遺伝子組み換え酵素phenylalanine ammonia lyase で、Phe を分解してケトン体によるPKU の原因を解消する。 PKU は出生時に発現し、脳に様々な蓄積性の毒性をもたらす希少遺伝病で、米国では、年間、新生児10,000 人~15,000 人に1 人の割合で発生する。 申請の根拠となった第3 相PRISM-2 臨床試験では、ベースラインで57%の患者がPKU 用医療用食品を、16%の患者が蛋白質制限食を使用していた。PALYNZIG は、プラセボと比較して血中Pheレベルを有意にかつ顕著に低下させた(p <0.0001)。 年間コストは、卸購入価格(WAC)で19.2 万$に設定されている。

アストラゼネカのタグリッソ のEGFR 変異陽性非小細胞肺癌の1 次療法をCHMPが承認勧告(4/27)

欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品評価委員会(CHMP)が、アストラゼネカのタグリッソ(一般名:オシメルチニブ)の販売承認内容の一部を変更し、上皮成長因子受容体(EGFR)の活性化変異を有する局所進行又は転移性非小細胞肺癌(NSCLC)成人患者の1 次療法を適応症として追加する勧告を採択した。 本勧告は、2017 年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会において発表され、同時にNEJM 誌に掲載された第3 相FLAURA 試験結果に基づいている。無増悪生存期間(PFS)中央値は、対照群(ゲフィチニブorエルロチニブ)の10.2 カ月に対しタグリッソ群では18.9 カ月で、ハザード比は0.46 (95%CI:0.37, 0.57, p < 0.0001)であった。

FXa阻害剤に対する中和剤ANDEXXAをFDAが承認(5/3)

FDAが、Portola Pharmaceuticals, Inc. (Portola)のFXa 中和剤ANDEXXA[coagulation factor Xa (recombinant), inactivated-zhzo]を、生命に関わる又はコントロール不能な出血のために抗凝固作用の回復が必要な場合に、rivaroxaban およびapixaban で治療中の患者用として承認した。 米国でANDEXXAは、希少病薬指定およびBreakthrough Therapy 指定(BTD)を受けており、健常人におけるFXa 活性のベースラインからの変化に基づいて加速承認審査制度によって承認された。本効能の承認を維持するためには、市販後の臨床試験を継続し、患者のヘモスタシスにおける改善を証明することが義務付けられている。 ANDEXXA の承認は、主に2 本の第3 相ANNEXA-R(NCT02220725)およびANNEXA-A(NCT02207725)試験のデータを根拠としている。これらの試験では、健常ボランティアを対象にFXa 阻害剤rivaroxaban およびapixaban の抗凝固活性のANDEXXAによる中和作用に関する安全性および有効性を評価し、ANDEXXA が迅速かつ有意に抗FXa 活性を中和することを証明した。

オプジーボ+ヤーボイによる転移性非小細胞肺癌の1 次療法のType II 変更申請をEMAが受理(5/3)

欧州医薬品庁(EMA)が、ブリストルマイヤーズ スクイブ(BMS)と小野薬品のオプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)併用療法の非小細胞肺癌(NSCLC)患者[腫瘍遺伝子変異量(TMB)が10 変異/mega base(mut/Mb)以上]に対する1 次療法の、効能追加申請を受理した。 申請の根拠は、1 次療法の進行NSCLC 患者を対象に、非扁平上皮癌および扁平上皮癌の両組織型にわたり、オプジーボを含むレジメンと白金製剤を含む 2剤併用化学療法を比較評価した非盲検第3 相CheckMate-227 試験の結果である。

FDA、アムジェン/ノバルティスが開発したAIMOVIG(erenumab-aooe)を片頭痛の予防薬として承認

FDAがアムジェンとノバルティス のAIMOVIG(erenumab-aooe)を成人の片頭痛予防薬として承認した。AIMOVIG は、片頭痛の発症に重要な役割を演じていると考えられているcalcitonin gene-関連ペプチド受容体(CGRP-R)をブロックすることにより片頭痛を予防するように特別に開発された、最初で唯一の治療用アプローチである。AIMOVIG 70 mg は患者が自己投与可能なように、アムジェン のSureClick オートインジェクターで月に1 回投与(Q1M)する。 承認申請の根拠となったLIBERTY 試験は、治療の困難な患者集団を対象にして、CGRP 経路を特異的に標的とする治療薬を検討した初の臨床試験である。本試験では、過去に試した2~4 種の予防的治療で効果がなかった患者246 人を、erenumab 140 mgまたはプラセボを12 週にわたりQ1M で皮下投与する群のいずれかに無作為に割り付けた。erenumab群はプラセボ 群と比較して、主要評価項目の月間片頭痛日数が50%以上減少する見込み(オッズ)が約3 倍高く、この反応を達成した患者の割合は2 倍以上であることが示された(9~12 週目:erenumab 群30.3%、プラセボ群13.7%、p<0.001、オッズ比2.73)。 アムジェン は本剤の日本での独占商業化権を有し、ノバルティス は世界の他の地域での独占的商業化権を有している。

転移性非小細胞肺癌に対する第3 相IMpower150 試験でテセントリク がOS を延長

抗PD-L1 抗体テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)とアバスチン(一般名:ベバシズマブ)にカルボプラチンおよびパクリタキセル(化学療法)を併用した転移性非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)の1 次療法について検討した第3 相IMpower150 試験で、良好な成績が得られた。今回の中間解析では、テセントリク併用群は、非併用群に比べ主要評価項目の一つEGFR 遺伝子変異またはALK 融合遺伝子陽性患者を除くITT 解析集団(ITT-WT)におけるOS の延長を示した。 本試験成績は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において、6 月4日午後に開催されるセッションにおいて公式発表される予定である(抄録番号:9002)。

武田薬品とShireの合併について(4)

「武田薬品の将来を考える会」がシャイアー社とのM&Aについて見解を発表しました。弊社はシャイアー社の新薬開発パイプラインの評価、ならびに経営状態について、委嘱をうけて分析しました。弊社のホームページから全文をダウンロードしてご参照ください。➔ リンク 1.武田側株主とシャイアー側株主の間の不公平について シャイアー株主が取得する一株あたり49ポンドの価格は、M&Aのニュースが流れる直前(3月23日)のシャイアー株価と比べると64%高く決まりました。その後シャイアーの株価は25%上昇していますが武田薬品の株価は19%値下がりしています。この取引による武田側の過剰な負担が株価に影響しており、両社の株主間で著しく公平を欠いた取引であることは明白です 。(レポート p.3) 2.借入金の著しい増加について 武田薬品の昨年12月末時点の借入金は1.1兆円でしたが統合後は6兆円を上回ります。合併会社の売上高2年分に相当する借入れとなり(*注)、返済不能となるリスクが大きくなりますが返済計画については未だに説明がありません。この点に関して債権格付け機関である、S&P、ムーディズ、R&Iは、いずれも信用度の格下げを表明しています。ウェバー社長は投資適格を維持すると表明していますが、その根拠は不明です。格付け機関では疑いを持って検討中のようです。(*注)2017年12月末時点での既存借入金が3.2兆円(武田薬品1.1兆円およびシャイアー 2.1兆円)、合併による現金支払に当てる借入金(約3.1兆円)= 6.3兆円 (レポート p.19) 3.収益力の低下について 統合により「のれん代および無形資産」が3兆円増加します。これを負担する新たな借入金3.2兆円の利払いは毎年1200億円(金利4%)となり、従来の借入金(2.8兆円、金利3%)の金利上昇分を合計すると金融費用は1500億円増加します。さらに無形資産の償却費が1,000億円(推定)、統合コスト1,000億円程度が発生します。合計すると統合後の新会社には毎年3500億円の追加負担となり、純利益はほぼゼロ(20億円程度)まで落ち込む見通しです。2017年度予想177円(第3四半期発表で201円に上方修正)の一株当たり利益(EPS)は1円まで落ち込むリスクがあります。なお、2017年度の利益は和光純薬の...

武田薬品によるShire plc買収に関して(3)

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EBITDAについて  武田薬品のウェバー社長はシャイアーとの合併合意の記者会見で収益の悪化を懸念する質問に対して、武田側の株主にとってはEBITDAが3倍になる素晴らしいM&Aであると言っています。EBITDAとは何でしょうか? どうして純利益で言わないのでしょうか?  EBITDAは、earnings before interest, taxes, depreciation, and amortization。日本語にあえて訳せば利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益... 訳語が定まっていないため「EBITDA」と表記されることが多い。読み方は、「イービットディーエー」、「イービッタ」など、定まっていない。 損益計算書 上に表示される会計上の 利益 ではない。2000年前後には財務指標として広く利用されていたが、 2002年 の ワールドコム 破綻の際に、指標としての欠点が問題となった.... EBITDAには、過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失をマイナス要因として取り込むことができないという欠点がある。 インターネット・バブル の頃、この欠点を アメリカ の 通信事業者 ・ ワールドコム が不正に活用した。( ウィキペディア )  ウィキペディアからの引用が長くなりましたが重要な問題を分かりやすく解説してくれています。とくに「過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失」が隠れてしまうという問題はシャイアーにもあてはまりそうです。  シャイアーは3年前(2015年)までは売上高6000億円程度の中堅企業でしたが、2016年にバクスターの血液事業や、希少病の家族性血管浮腫(HAE)で成功したバイオベンチャーなどを買収して売上高は1兆6300億円へと2.4倍になりました。その結果、原価率が急上昇して粗利率が低下、さらに急増した無形固定資産の償却費が発生して営業利益率は大幅に低下しています。合併シナジー(コスト削減)が実現しておらず、大幅に悪化した利益率が回復していないとして、年初来の株価は武田との合併が憶測される3月末までに20%下落するという状況でした。  2017年は会計上の税前利益19億ドル(2000億円)に対してEBITDAは62億ドル(6700億円)にもなります。EBITDAをここまで膨らませる原因となっている無形固...

武田薬品によるShire plc買収に関して(2)

武田薬品とシャイアーが最終的に合併に合意したことが報じられました。ウェバー会長の談話では希少疾患領域の基盤を評価しています。7兆円の巨額投資の根拠としては非常に危険です。以下、弊社の見解です。弊社が運営するファーマセットLibraryの「血友病」と「希少疾患」のページを公開しました。文中のリンク(➔)をクリックしてご覧ください。 血友病について Shireは血友病治療薬の市場で最大となる40%前後の市場シェアを持っていますが、競合する有望な新薬が登場してきました。競合新薬の開発状況を展望したうえで、シャイアーの開発パイプラインの評価を考える必要があります(➔ 血友病 )。中外製薬(ロシュ)のヘムリブラだけでなく、ファイザーがSpark社と共同開発中の遺伝子治療薬SPK-9001なども注目されています。血友病の主要製品の売上高を見ると合計(市場規模)は2017年85億ドル(9400億円)で伸び率は0.4%、ほぼ横ばいでした。市場シェアはシャイアーが最大でAdvateとFeibaを合わせて45%になります。それだけに発明新薬の登場が与える影響がおおきくなると懸念されます。 希少疾患について 希少病の治療薬として10億㌦(1000億円)以上を売り上げる製品はほとんどなく、マルチビリオン($B)製品となるブロックバスターは出てこないと考えていましたが アレクシオン社 が開発した抗体医薬エクリズマブ(販売名 SOLIRIS)は例外となりました。「発作性夜間ヘモグロビン尿症」に対する治療薬として2017年の売上高は3000億円を超えました。オーファンドラッグの開発に弾みをつける素晴らしい成果だと思います。とは言え、企業の経営戦略として希少病領域でブロックバスターを狙うのは間違っていると思います。これは倫理的な問題だけではなく、これまでの市場の現実を踏まえるべきだと考えるからです。 ポンペ病、ファブリー病、ゴーシェ病といった希少病の治療薬を開発して映画にもなったジェンザイムをサノフィが2011年に買収しました。その事業部(Rare Diseases)の業績はずっと20億ドル(2000億円)台で低迷しています。希少疾患は患者数が極端に少なく、新薬の普及率は発売と同時に100%に達します。価格は非常に高額なので値上げは許されません。希少疾患の新薬開発は行政やアカデミアの支援が手厚いの...

アストラゼネカ/MSD のリムパーザ、白金製剤感受性再発卵巣癌治療薬としてEU 承認を取得

武田薬品によるShire plc買収に関して(1)

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表題の件、とくに株主が被る損害について弊社の見解を発表しました。 現金プレミアムを組み合わせて株式交換を提案した武田薬品のシャイアー合併計画は、発表と同時に武田側株主が明白な損害を被るという、異例なスキームである。 M&Aにはあらゆる危険が潜む、としても極めて異例である。4月25日の「改定申出」によって解消されたが、それまでの問題点は次のとおりである。 武田薬品経営陣によると、シャイアーに提案した一株7050円(47ポンド)の買取価格は憶測前(3/20)の株価 4470円(29.8ポンド)に対して2580円(58%)のプレミアムになる  7050円は現金3150円(21ポンド)と新株3900円(26ポンド)で提供される  シャイアー株主は合併によって現金3150円を受領すると同時に、3900円で取得した新株を現時点(4/20) の市場価格(4857円)で売却すると、差額957円の追加利益を得ることができる  合併提案の公表によって下落した株価 4510円(4/25)でさえ、シャイアー側株主には取得額 3900円との差額 620円が追加利益となる  このように、シャイアー側株主は新会社の株価が 3900円に低下するまで追加利益を確定するために、先を争って売り抜けようとする  合併成立を待つまでもなく、市場で空売りして 3900円で買い戻す裁定取引が成立するので、武田薬品経営陣が提案を撤回しない限り、この状態が持続する  従って、4857円(4月20日)の武田株を保有していた株主は会社声明が発表されると同時に3900円との差額 957円の損失が決定されたことになる 4月25日の「改定申出」について Shire社株式1株あたり7424円(49ポンド)へと前回の7050円(46ポンド)から5.3%引き上げた。プレミアムの言及はないが計算では64%へ6ポイントの追加となる  Shire株主は現金3295円(21.75ポンド)および 4130円(27.26ポンド)に相当する新株0.839株を取得する。  一株あたりの価格に換算すると4月23日の終値4923円と同じとなる。  この改定によってShire側株主が得る追加利益が裁定取引を誘引して、株価が下落する問題は解消された。...