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マリファナ由来の有効成分カンナビジオールを2 歳以上の稀で重篤なてんかん症状の治療薬としてFDAが承認(6月25日)

FDA は、Lennox-Gastaut 症候群ならびにDravet 症候群の2 種類の稀で重篤なてんかん症状に伴う発作に対する2 歳以上の患者の治療薬として、マリファナ(marijuana)由来の精製された有効成分cannabidiol(CBD)(EPIDIOLEX)をNME として初めて承認した。本剤はFDA にとってDravet 症候群の治療薬として最初の承認薬になった。CBD はtetrahydro-cannabinol (THC)と共にマリファナの主要な化学成分として知られているが、THC が示す解毒作用や高揚感などの向精神作用は認められていない。 承認申請の根拠となった無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験において、Lennox-Gastaut 証拠群又はDravet 症候群患者 516 人が登録され、他の治療薬との併用により評価された。プラセボ に比べてEPIDIOLEX 群では、発作の頻度が効果的に減少された。

FDA、キイトルーダ の新効能として再発・難治性縦隔原発B 細胞リンパ腫を追加承認(6/13)

FDA は、Merck/MSD の抗PD-1 抗体療法のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)について、2 回あるいは3 回の治療レジメンを受けた後に再発した、又は再発難治性縦隔原発B 細胞リンパ腫(PMBCL)に対する適応を追加承認した。本承認は、奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)の評価に基づき、加速承認審査制度の下で承認された。本効能を維持するために確認臨床試験を実施して臨床上のベネフィットを検証しラベルにその旨を記載することが義務付けられている。 承認の根拠となったのは、再発・難治性PMBCL 患者53 人を対象とした多施設オープンラベルシングルアームのKEYNOTE-170 試験である。ORR は45% (95% CI, 32, 60)、完全奏効率(CRR)11 %、部分奏効率(PR)34%。DOR 中央値は未達成であった(範囲, 1.1+ to 19.2+カ月)。 また、ORR を達成までの期間中央値は2.8 カ月(範囲2.1-8.5)、フォローアップ期間中央値は9.7 カ月であった。

テセントリクと化学療法との併用1 次療法、進行扁平上皮非小細胞肺癌患者のPFS を延長(6/2)

ロシュの抗PD-L1 抗体テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)と化学療法を併用して、進 行扁平上皮非小細胞肺癌に対する1次療法として実施中の第3相IMpower131試験において、テセントリク と化学療法の併用療法が主要評価項目の1 つである病勢進行または死亡リスク(PFS)を軽減した。 第3 相IMpower131 試験は、化学療法未治療でStage IV の扁平上皮非小細胞肺癌を対象とし、テセントリクとカルボプラチンおよびアブラキサン(アルブミン懸濁型パクリタキセル;nab-PTX)(B群)、またはテセントリク とカルボプラチン およびパクリタキセルの併用療法(A群)と、化学療法(カルボプラチンおよびnab-PTX の併用:C群)単独の有効性および安全性を比較する、オープンラベル多施設共同無作為化第3 相臨床試験である。本試験では1,021 人が登録され、1:1:1 の3 群に無作為に割り付けられた。本試験の主要評価項目は、① 試験担当医師がRECIST v1.1 により評価したITT 集団におけるPFS(B 群vs. C 群)と、② ITT 集団におけるOS(B 群 vs. C 群)である。今回の解析は、B 群 vs. C 群で実施し、PFS を達成した。 テセントリク と化学療法の併用療法は、化学療法単独群に対し、主要評価項目の1 つであるPFS を29%低下させた(PFS 中央値=6.3 カ月 vs 5.6 カ月; HR=0.71; 95%CI: 0.60-0.85; 層別log-rank 検定p<0.0001)。12 カ月PFS 率は、C 群の12.0%に対し、B 併用群では24.7%であった。今回の中間解析時点で、統計学的に有意なOS の延長は観察されておらず、試験は計画どおり継続する。

Shire plcのR&Dパイプライン評価について

株式市場は非常に効率的です。なぜなら良いニュース、悪いニュースは瞬時に株価を動かすからです。とくに効率的な米国市場でPER10倍、PBR1.0倍と極端に低い株価倍率は、企業の成長性に明白な問題があるというシグナルです。このシグナルにはふたつの見方があります。 既存製品の売上が安定しているならば、「開発パイプラインには見るべきものがない」という見解。もしくは反対に、 「パイプラインには価値がある」ものの、既存製品の落ち込みで相殺されることが想定されている。 シャイアーの既存製品については、血液事業で1兆円を超える減損処理が必要となる見通しです。これはロシュ・中外グループの二重特異抗体ヘムライブラが10月に非インヒビター型の血友病患者にも広く使用できるようになることが影響するためです。開発パイプラインには、その1兆円を穴埋めするポテンシャルがあるでしょうか? 「武田薬品の将来を考える会」のホームページに掲載しました。 ➔  Shire plcのR&Dパイプライン評価について

東京農工大発、微生物由来第2 相段階の脳梗塞治療薬TMS-007、Biogen と導出契約締結(6月7日)

株式会社ティムス(TMS Co., Ltd.)(本社:府中市)は、急性期脳梗塞患者を対象とした前期第2 相臨床試験段階にある開発品TMS-007 注射剤の導出について、独占的オプション契約をBiogen と締結したと発表した。 TMS-007 は、糸状菌Stachybotrys microspora IFO30018 株が生産するtriprenyl phenol を基本骨格とする新規化合物群で、頭文字をとってSMTP とも呼ばれる。 低分子化合物で、生体が本来有している血栓除去作用の増強作用と、血栓部位の炎症抑制作用の、2 つの作用を有すると考えられている。TMS-007 の血栓除去作用は、プラスミノーゲン のコンフォメーション(立体構造)の変化に基づくプラスミノーゲンのフィブリン への結合とプラスミン への活性化の促進に基づくとされている。これにより血栓が存在する局所において血栓溶解が促進され、出血リスクの少ない血栓溶解が可能になると期待されている。また、可溶性epoxide hydrolase を阻害することによる抗炎症作用は、虚血再灌流により引き起こされる血管障害を緩和する機能を有すると考えられている。 TMS社は、東京農工大学大学院農学研究院 蓮見惠司教授の研究成果の実用化をミッションとして 2005 年2 月17 日に設立された。これまで新株発行等により約11 億円の資金調達を行い、パイプラインの充実を図ってきた。

FDA 長官、ASCO2018 年次総会で、抗癌剤の審査方法の試行プログラムや薬価抑制策を紹介(6月2日)

シカゴ で開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2018)で、抗癌剤開発に関して現在FDA が取り組んでいる施策として以下を紹介した。 (1)精密医療の推進に関して、ALK 遺伝子融合、EGFR 突然変異、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損などの分子異常に基づく抗癌剤開発が注目される。 (2)科学技術における新薬開発の機会を活用するために、審査手順を創出する必要がある。FDA は既に、複数の分野に分かれている抗癌剤の承認審査を統合したOncology Center of Excellence(OCE)を設立している。 (3)2017 年には、2 つのCAR-T 細胞療法を含む16 の新規抗癌剤を承認し、更に、2 つのバイオシミラー含む30 の新効能を追加承認した。 (4)ミクロサテライト不安定性の評価を利用することにより、癌種横断的治療薬開発が可能になった。 (5)抗癌剤のトランスレーショナルリサーチの重要性を理解したうえで、開発期間を如何に短縮して患者に届けるか、CDER を中心に規制面での合理化に取り組んでいる。 (6)OCE を中心に、新しい審査プロセスとしてパイロットプログラムreal-time oncology review (RTOR)を、既に承認された抗癌剤の効能拡大の申請の多くに適用している。 (7)薬剤費の削減に関しては、医薬品販売の独占期間を短縮して、後続医薬品を市場に登場させ競合状態を高めることもコスト削減策の1 つと考えられる。

アバスチンと化学療法の併用療法を初回手術後の進行卵巣癌に対してFDAが承認(6月13日)

初回手術後の進行卵巣癌(stage III またはIV)に対するロシュのアバスチン(一般名:ベバシズマブ)と化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)の併用後に、アバスチンを単独で継続投与する治療法について、FDA が承認した。承認申請の根拠は第3 相GOG-0218 試験結果に基づいている。 本試験は、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照第3 相試験で、1,873 人の前治療歴の無いステージIII またはIV の上皮性卵巣癌、卵管癌、または原発性腹膜癌女性患者で、既に可能な限り腫瘍の切除を目指した手術を受けていた。被験者は無作為化され、3 アームの何れかに割付けられた。3 アームは、①化学療法単独療法(カルボプラチン+パクリタキセル)、②アバスチン(15 mg/kg+化学療法)併用後プラセボに切り替えて治療を継続、③アバスチン+化学療法の併用療法後、アバスチン 単剤療法を合計22 サイクル継続。 主要評価項目は、試験担当医師が判定した無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は、全生存期間(OS)などである。 試験はGynecologic Oncology Group (GOG)の主導で進められ、最初のデータはNew England Journal of Medicine 誌に掲載済みである。 アバスチン と化学療法の併用後にアバスチン を単独で継続した群の無増悪生存期間(PFS)の中央値は18.2 カ月であり、化学療法単独群の中央値の12.0 カ月に比べ統計学的に有意な延長が認められた(主要評価項目、HR=0.62、95%CI:0.52-0.75、p<0.0001)。このPFS 延長は、アバスチンを最大22 サイクル投与する治療で達成された。 ➔ 卵巣がん 、 Roche 、 VEGF阻害薬

5 月度CHMP 定例会議がバイオシミラー4 件(2 品目)を承認勧告(6月1日)

EMA のCHMP は5 月度定例会議(5 月28 日~31 日)で、サンドのアダリムマブのバイオシミラー(3件の商標)と、ファイザーのトラスツズマブのバイオシミラー についての承認を勧告した。

再発・難治性非ホジキンリンパ腫に対するCAR T 細胞liso-cel(JCAR017)の最新結果報告(6月3日)

セルジーンは、開発中の抗CD-19 CAR T 細胞療法lisocabtagene maraleucel (liso-cel; JCAR017)の、再発・難治性(r/r)悪性B 細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)患者に対する、TRANSCEND (NHL-001)試験において、6 カ月の安全性および有効性の最新データを2018 米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)年次総会で発表した。 liso-celは開発中の抗CD19 CAR T 細胞療法で共刺激ドメインに4-1BB を使用しているのが特徴である。TRANSCEND 試験はオープンラベル、多施設の第1 相臨床試験で、再発または難治性(r/r)大細胞型B 細胞リンパ腫、縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫グレード3B および mantle 細胞リンパ腫の成人患者において、liso-cel の安全性、薬物動態(PK)、抗腫瘍活性を評価する試験である。 今回の発表では、liso-cel により治療された114 人と安全性評価の対象となった102 人のデータが含まれている。そのうち51 人が108 CAR T 細胞で治療を受けた。 TRANSCEND NHL-001 試験 [濾胞性リンパ腫(tFL)から形質転換されたr / r DLBCL、および低リスク高悪性度のMYC 転座に加えてBCL2 やBCL6 転座を付加的に持ついわゆる。double hit /triple hit lymphoma (DHL/THL) と呼ばれる一群を含む] の登録基準に適合した37 人の患者に対する効果は以下の通りである。インフュージョン後6 カ月の時点で49%が奏効状態を維持し、46%が完全奏効(CR)を継続していた。6 カ月以上の奏効期間が5 x 107 から 1 x 108 CAR T 細胞の投与で達成された。CR を示した患者の93%がデータカットオフの時点でCR を持続していた。なお、liso-cel 療法は、採血した患者の99%でCAR T 細胞の製造に成功した(n=132/134)。

ShireとのM&Aに反対する理由 第3版

血友病市場のゲームチェンジャーとなる二重特異抗体の新薬ヘムライブラがインヒビター非保有患者への効能拡大を6月5日に申請、FDAはこれを優先審査とし、10月4日には承認される見通しとなりました。従来の血液由来第8因子製剤の市場は、ウイルス混入の危険性や投与頻度の問題などから消滅すると予想されます。シャイアーにとっては年間30億㌦(3300億円)の売上減少となります。今回の改訂版ではシャイアーの企業収益は2019年から長期の減収傾向が始まる収益モデルとなりました。 血液製剤は石油製品と同じように「連産品」です。最も付加価値の高いガソリンの販売シェアが低い石油会社は重油の販売でも不利になります。原料コストを重油からも回収する必要があるからです。同じことが血液製剤にもあてはまります。高額な第8因子の売上がなくなると、23億㌦(2600億円)を売り上げるグロブリンの製造原価が大幅に増加します。減損処理は血友病製品だけで1兆円、血液事業全体で2兆円に達する可能性があります。 「武田薬品の将来を考える会」のホームページに全文レポートを掲載しています。ご高覧いただければ幸いです。➔ LINK

FLT3-ITD 変異陽性再発難治性急性骨髄性白血病に対するquizartinib の第3 相試験結果発表(6月6日)

米国第一三共は、開発中のFLT3 阻害剤quizartinib について、FLT3-ITD 変異陽性、再発難治性急性骨髄性白血病(r/rAML)に対し、quizartinib 単剤による第3 相QuANTUMR試験結果を、来る6 月14~17 日にStockholm で開催される第23 回欧州血液学会(EHA2018)総会において、16 日のLate- Breaking Session で初めて口頭で報告すると発表した。 QuANTUM-R 試験は、造血幹細胞移植を受けたあるいは受けていないに関わらず、1 次療法の標準療法に難治性、あるいは1 次療法の標準療法後、6 カ月以内に再発したFLT3-ITD変異陽性AML 患者367 人を登録した、ピボタル、グローバル、第3 相、オープンラベル、無作為化試験である。登録患者は2:1 の比率で無作為に分けられ、quizartinib の経口単剤療法、又は救済化学療法のいずれかを投与された。主要評価項目は、全生存期間(OS)である。

武田薬品ウェバー社長の書簡について

武田薬品が「株主の皆様へ」と題する社長レターを発表しました。 https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/tdnr/b4hc01/ ウェバー社長の説明は相変わらずEBITDAの一点張りです。ここに最大の問題があります。というよりも、EBITDAで最大の問題を隠しています。 EPS(一株利益)についても会計上のEPSではなく、「実質的なEPS」を配当金を維持する根拠としています。配当の原資は減価償却費を計上したあとの、会計上のEPSでなければなりません。これは企業が永続的な企業であり続けるためには、配当金が償却費を積み立てたあとの「純利益」を超えてはならないからです。 製造機械などの有形資産は経年劣化で10年もすると必ず壊れます。その時に設備を買い替えなければ事業は継続できず、企業は存続できません。健全で永続的な企業は「減価償却費」を十分に積み立てて、同水準以上の設備に更新し続けて競争力を維持する必要があります。無形固定資産の償却もおなじです。製薬企業の場合は特許の残存年数が毎年減っていくなかで償却費を積み立てて更新投資をできなければ、事業規模を維持できずに衰退するだけです。 したがって、企業の純利益は事業を継続可能とするための、あらゆる支出を控除したあとの利益となります。会計学の教科書で最初に勉強することかと思います。あたりまえのことを書いているようで恥ずかしくなりますが武田薬品の経営陣は恥ずかしくないのでしょうか? 本案件の発表直前に 最高財務責任者(CFO)が去ったのも、この辺に原因があったのかと思います。 EBITDAの問題は「考える会」のホームページに掲載しています、ご参照ください。(LINK ➔ ShireのEBITDAについて )