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FDAの2012年の新薬承認数は42件へと大幅増加。ファイザーは3件でトップ、アステラスとエーザイも善戦

2012年のFDAの新薬承認数は12月に急増したため系42件と、1997年(45件)以来の高水準となった。前年34件(生物製剤4件を含む)から8件増加。日本企業はアステラスとエーザイが2件ずつ、武田薬品が1件だった。

2012年株価は好調持続。上昇率1位バイエルはリバウンド含み、2年間累積ではサノフィとファイザーが上位を占める

2012年の株価上昇率はバイエルが46%でグローバル製薬企業12社中1位。2位サノフィは25%上昇したが前年も19%上昇している。2年間の累積上昇率で見ると、サノフィが48%で1位、ファイザーが42%で2位、バイエルは30%へと低下して7位だった。サノフィとファイザーの共通点は「特許の崖」を乗り越える「高分子シフト」。

BMSとファイザーが共同開発したファクターXa阻害剤ELIQUISをFDAが承認 [2012/12/29]

ファクターXa阻害剤はワーファリンに代わる、より安全で有効な抗血液凝固薬として期待されている。「心房細動(AF)患者の脳卒中リスク」に対する治療(SPAF: Stroke Prevention in Atrial Fibrillation)は現在でも、60年前に登場したワーファリンが中心で、薬物相互作用や患者ごとに必要な用量設定に起因する致死的な頭蓋内出血など、大出血の副作用が解決されていない。2012年12月末にFDAが承認したELIQUIS(日本名:エリキュース)は、非弁膜性心房細動患者18000を対象にワーファリンと比較した大規模臨床試験「ARISTOTLE(アリストテレス)」において脳卒中発症を21%低下、大出血副作用を31%抑制、そして全死亡率を11%低下させた。 SPAF効能を取得した抗血液凝固薬は全てワーファリンを対照薬とする大規模アウトカム試験を実施している。10年10月に承認されたベーリンガー インゲルハイムの直接トロンビン阻害剤Pradaxa(日本名:プラザキサ)の「RE-LY試験」は18000例、11年11月に承認されたバイエル/ジョンソン&ジョンソン(J&J)共同開発のファクターXa阻害剤Xarelto(日本名:イグザレルト)の「ROCKET-AF試験」は1万4000例だったが、統計的有意差を得たのはELIQUISが初めてである。

ファイザーは構造改革を加速: 乳児栄養事業をネッスルに売却 [11/30]、米国内の開業医担当MRを20%削減 [12/19]

ファイザーの事業再編は高脂血症治療薬リピトールに代表される「患者数が多い低分子医薬品」による巨大市場の終焉と、「患者数が少ない高分子医薬品」時代の本格的な到来を告げる象徴的な出来事だ。100億ドル(8千億円)を超える史上最大の売上を記録したリピトールは後発品が参入して激減、米国内3000名のPrimary Care担当MRを20%削減すると発表した。一方、抗リウマチ薬XELJANZ、肺がん治療薬ザーコリなど最近12ヶ月間に分子標的薬4品目の承認を取得。高分子シフトが開花期を迎えている。前項の「最高の研究所長」には同社研究開発部門トップだったMartin Mackay氏を選ぶべきだったかも知れない。しかし2010年にアストラゼネカ研究所長に転出しているためか、ウォールストリートジャーナルに掲載されたSCRIP誌ランキングにはファイザーとアストラゼネカ、両社とも見当たらなかった。

「製薬産業における最高の研究所長」にブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)のElliott Sigal氏

「製薬業界で最高の研究所長」は国際的に有名な医薬品業界誌SCRIPが04年から11年までの研究開発費総額と新薬承認数を定量的に比較して選出した。BMSはこの8年間で280億ドル(2兆3000億円)を使って7品目のFDA承認を取得、1品目当たり3300億円はメルクの6000億円を大きく下回った。メルクの承認取得も7品目だったが、研究開発費の累積は業界最大の500億ドル(4兆円)に達している。 ただし、SCRIP誌の計算方法は単純すぎるかも知れない。メルクはシェリングとの合併によるIPRD(仕掛研究)の一括償却が影響しているかもしれない。反対にBMSは抗血液凝固剤アピキサバンでファイザーと、糖尿病薬FORXIGAではアストラゼネカと提携するなど自社品でも共同開発が多く、品目当たりでは過小に計算されている可能性がある。とは言え、筆者の定性的な印象もSCRIP誌と同様だ。BMSは新薬理の前述2品目の他に抗体医薬でも抗リウマチ薬オレンシア、悪性黒色腫治療薬YERVOYなどを輩出。一方、メルクは7品目のうち3品目がワクチン。大成功をおさめた糖尿病薬ジャヌビアを除くと残る3品目の印象も薄い。

アストラゼネカ(AZ)とリリー、主力製品の特許切れに苦しむ二社がそれぞれ抗リウマチ薬開発に失敗 [12/13]

抗リウマチ薬が高分子シフトの重要な一手だったAZとリリーに痛手。AZ はファイザーが成功したXELJANZ と同様の経口分子標的薬、リリーは抗体医薬で、臨床試験はどちらもヒュミラを対照としたが優位性を立証できなかった。

2012年のFDA新薬承認数は8年ぶりの高水準、11月末時点ですでに31の新規成分を認可 [12/5]

米国FDAの新薬承認件数は毎年40件前後だった1990年代と比べて半分の水準に落ち込んでいたが2011年は分子標的抗がん剤の飛躍的な進展を背景に前年の21件から30件へと回復。12年もがんやリウマチなどの難病を標的とした高分子医薬品を中心に回復基調を維持した。09年にFDA長官に就任したハンバーガー女史がPDUFA法に基づく審査期限の遵守を徹底してきた努力も評価されている。

βアミロイド仮説に基づくアルツハイマー病治療薬の開発が難航、BMSは中断、リリーは追加試験、メルクは新薬理を追求 [12/3]

アルツハイマー病のβアミロイド仮説に基づく新薬開発が相次いで頓挫。抗体医薬ではワイス(現ファイザー)のパピネオズマブに続いてリリーのソラネズマブも不調。追加臨床試験が必要となった。γセクレターゼ阻害剤ではBMSがavagacestatの中止を決定。P2/3段階に進んだメルクのBACE阻害剤に勝機到来か?