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エーザイのBACE阻害剤E2609が早期アルツハイマー病を対象に第3相試験の症例登録を開始

エーザイは経口βサイト切断酵素(BACE)阻害剤E2609をBiogenと共同開発中、早期アルツハイマー病(AD)を対象とした第3相臨床試験(MISSION AD)の症例登録を米国で開始した。 MISSION AD プログラムの最初の試験となるMISSION AD1(301試験)は、バイオマーカーで早期ADと判定される1,330人を対象としてE2609の有効性と安全性を検証する、多施設、共同、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較試験である。実薬群は1用量のみの設定で、50 mg/日を24ヵ月投与する。主要評価項目は臨床的認知症重症度判定尺度(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB)を用いる。 (参考) βアミロイド(Aβ)の脳内沈着はアルツハイマー型認知症の病因の1 つと考えられている。BACE阻害薬はアミロイド前駆体タンパク質のβサイト切断酵素(BACE)を阻害することによってβアミロイド(Aβ)を減少させ、病態の進行を抑制する疾患修飾作用が期待されている。開発段階で先行する、メルクのベルベセスタット(MK-8931)の主要P3試験(EPOCH)は今年(2016年)1月に症例登録を完了し、来年(2017年)7月には結果が判明する。さらに、アストラゼネカとリリーが共同開発中のAZD3293は、FDAが今年8月に優先審査に指定した。 Link   企業分析 ➜ エーザイ  新薬開発➜ アルツハイマー病  ➜ BACE阻害剤

多発性骨髄腫の骨合併症に対して抗RANKL抗体デノスマブ(製品名XGEVA)の発症遅延作用を証明

アムジェンはXGEVAを様々な固形がんの転移による骨病変に対する予防薬として販売している。今回の第3相482試験では血液がん(多発性骨髄腫)による骨合併症の発症遅延作用を検証し、良好な結果が得られたと発表した。 本試験(NCT01345019)は、国際共同、二重盲検、多施設の臨床試験で、新たに多発性骨髄腫と診断された患者を登録して、XGEVAによる骨合併症の予防効果をゾレドロン酸と比較した。登録患者1,728 人(各群859 人)は、XGEVA群(120 mg 皮下注、4週に1回)あるいはゾレドロン酸群(4 mg静注:腎機能で調整、4週に1回)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、最初のSRE(骨折、骨への照射、骨または脊髄圧迫)発症までの期間に関しての、XGEVAのゾレドロン酸 に対する非劣性の証明である。副次評価項目は、最初のSRE 発症までの期間、次の発症までの期間、および全生存(OS)のXGEVAのゾレドロン酸に対する優越性である。 主要評価項目の非劣性 [ハザード比(HR)= 0.98, 95 % CI, 0.85 - 1.14]は達成されたが、副次評価項目のうち、最初のSRE発症までの期間と次のSRE発症までの期間に関する優越性は達成されなかった。OSにおけるゾレドロン酸に対するXGEVAのHRは0.90(95%CI;0.70-1.16)であった。XGEVAの安全性プロファイルは、既知のものと一致していた。 (参考) XGEVAを国内で製品名ランマークとして販売する第一三共は本試験の「協力者」と記載されている。同社の2015年度決算におけるランマークの売上高は前年比22%増加の124億円であった。また、同成分の骨粗しょう症治療薬プラリアの売上高は125億円(前年比52%増)であった。アムジェンの2015年グローバル売上高はXGEVAが14億ドル(1400億円)、Proliaが13億ドル(1300億円)であった。 Link   企業分析  ➜ アムジェン   ➔ Amgen  ➜ 第一三共  新薬開発➜ 血液がん

第一三共、乳癌術前化学療法第2 相I-SPY2 試験にHER3 阻害剤patritumab が新たに参画

第一三共とQuantum Leap Healthcare Collaborative(QLHC)は、現在進行中のISPY2試験(NCT01042379)に、第一三共が開発中の抗HER3 モノクローナル抗体patritumab の新たな治療アームを追加すると発表した。 QLHC がスポンサーのI-SPY 2 試験は、現在進行中の第2 相、無作為化、対照比較、多施設の試験である。局所進行乳癌(ステージII/III))と新たに診断された女性のうち特定のサブグループの患者を迅速にスクリーニングし、有望な治療法を早期に見出すことを目指した、革新的なアダプティブデザインからなる臨床試験である。標準療法の抗HER2 モノクローナル抗体トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)とパクリタキセルの併用療法にpatritumab を上乗せした投与群と標準療法群を新たな治療アームで比較する試験である。HER2 陽性乳癌患者を無作為化し、治療アームの1 つに割り付け、乳癌の切除手術を受ける前に12 週にわたり治療を受ける。 patritumabは、HER3 を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体である。HER3は、複数のタイプの癌種で異常に活性化されているユニークなHER ファミリーのメンバーである。癌細胞の増殖を促進するために、HER3 受容体は二量化し、EGFR またはHER2 のような別のHER ファミリー受容体に結合する。前臨床のエビデンスは、HER3 阻害剤と他のHER ファミリー受容体阻害剤との併用は、ある種の癌の治療における有望な治療法になる可能性があることを示している。I-SPY2 試験への参加に加えて、前治療歴の有る再発または転移性頭頸部癌に対してpatritumab を評価する第2 相試験が患者登録を進めている。 Link   企業分析 ➜ 第一三共  新薬開発➜ 乳がん

メルク(MSD)の抗PD-1受容体抗体キートルーダの肺がん一次療法の効能追加をFDAが承認

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 「EGFRまたはALK 融合遺伝子の変異の無い、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)」で、「PD-L1発現率が50%以上」の患者への投与が承認された。PD-L1発現率に加えて「EGFRおよびALK遺伝子野生型」も対象患者の患者選定の条件とされたが、二次療法で最近承認されたテセンテリク(ロシュ)と同じ表現である。  昨年(2015年)11月に承認されていた「PD-L1発現率1%以上の患者を対象とする二次療法」の適応症も更新され、固定用量(3週間に1回200mg投与)の使用が承認された。これまでは体重1㎏あたり2mgの用量調整が必要だった。投与間隔(3週間に1回)は従来通り。 (参考)  今回承認された「非小細胞肺がん(NSCLC)一次療法」の効能拡大では、先行していたブリストル・マイヤーズのオプジーボがフェーズIII試験で失敗し、メルクが一番乗りを果たした。二次療法の承認はキートルーダとオプジーボが昨年(2015年)10月、ほぼ同時だった。キートルーダの一次療法は9月にsBLA申請と同時にブレークスルー治療指定、その後2か月での承認となった。  下図は患者数が多い順に、肺がんを最上段、皮膚がんを最下段に並べて、PD-1/L1阻害剤の適応症取得状況をまとめた。注目点は、肺がんの次に市場が大きい乳がん及び大腸がんの開発状況である。キートルーダは後期臨床段階に入っており、FDAはMSI(マイクロサテライト不安定性)の転移性大腸がんを対象としてブレークスルー治療に指定している。  抗PD-1受容体抗体に対抗する抗PD-L1抗体の臨床開発では、肺がんが先行している点も注目される。テセンテリク(ロシュ)は5月に膀胱がんで初回承認を取得し、10月には肺がん二次療法の効能追加が承認された。さらに後続の抗PD-L1抗体、アベルマブ(独メルク/ファイザー)とダーバルマブ(アストラゼネカ)の臨床試験も肺がん適応症が先行している。 Link   企業分析 ➜ Merck(MSD)  新薬開発➜ 肺がん   ➔ PD-1/L1阻害剤  市場動向➜ PD-1/L1阻害剤  ➔ 肺がん

ロシュの免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-L1抗体)TECENTRIQが非小細胞肺がんに対しFDAより承認取得

 FDAが承認した適応症は「白金製剤ベースの化学療法、EGFR遺伝子変異陽性またはALK融合遺伝子陽性肺癌に対してFDAが承認した分子標的療法施行中または施行後に病勢が進行した転移性非小細胞肺癌(NSCLC)」。ランダム化第III相臨床試験のOAK試験と同第II相臨床試験のPOPLAR試験の成績に基づいて承認された。  大規模臨床試験のOAK 試験(各群425例)では、TECENTRIQ群における全生存期間の中央値は13.8ヵ月で、ドセタキセル群の9.6カ月と比べて4.2ヵ月の延長を示した[ハザード比(HR):0.74、95% CI:0.63-0.87]。  OAK 試験では患者のPD-L1の発現状況を問わずに、扁平上皮型および非扁平上皮型の両組織型の患者が登録された。 (参考)  TECENTRIQ(一般名:アテゾリズマブ)の初承認は本年(2016年)5月、進行性膀胱がんに対してFDAが加速承認した。免疫チェックポイント阻害剤として2014年に承認され、先行するキートルーダ(メルク)とオプジーボ(ブリストル・マイヤーズ)はいずれもPD-1受容体に対する抗体である。一方、TECENTRIQはPD-1受容体に結合するリガンドのPD-L1に対する抗体である。作用点の違いが臨床成績にどのように反映されるか、今後の注目点である。  もう一つの注目点は非小細胞肺がんの「一次療法」への効能拡大である。二次療法の承認はキートルーダとオプジーボが昨年(2015年)10月、ほぼ同時に取得している。しかし、一次療法の追加ではオプジーボが8月に臨床試験の失敗を発表する一方、キートルーダは9月にsBLA申請し、FDAのブレークスルー治療指定を獲得した。PD-L1発現による対象患者の絞り込みが成否のカギとなったようである。TECENTRIQの非小細胞肺がん一次療法はPD-L1で選別した患者を対象にフェーズIII段階にあり、ロシュは2018年の申請を予定している。 Link   企業分析 ➜ Roche  新薬開発➜ 肺がん  ➔ PD-1/L1阻害剤

アストラゼネカがPD-L1阻害剤durvalumabの初期データを欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)で発表

 非小細胞肺癌(NSCLC)および頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)のに対するdurvalumabの初期段階の好成績が発表された。進行NSCLにおけるdurvalumabの単剤療法を検討したStudy1108第I/II相試験の追跡結果により、PD-L1発現度の高い腫瘍を持つ患者において客観的奏効率(ORR)および全生存期間(OS)の改善が認められた 。 転移・再発HNSCC患者のStudy 1108コホートは、評価可能な全ての患者(62例)のORRは11%(95%CI: 5-22%)、PD-L1発現が高い癌患者(22例)のORRは18%(95%CI: 5-40%)であった。  durvalumabは今年(2016年)2月に米国FDAから尿路上皮がんに対する画期的治療薬の指定を受けている。 Link   企業分析 ➜ AstraZeneca  新薬開発➜ 肺がん  ➜ その他のがん  ➔ PD-L1阻害剤

ロシュの抗PD-L1抗体atezolizumabが非小細胞肺癌の第3相試験で全生存期間(OS)を 延長

 ロシュの抗PD-L1 抗体TECENTRIQ(atezolizumab)のピボタル第3相OAK試験の結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)において発表された。OAK試験はプラチナベースの化学療法を施行中または施行後に病勢が進行した非小細胞肺癌(NSCLC)患者1,225 名を対象にTECENTRIQの有効性と安全性を化学療法剤docetaxel と比較した。対象患者はPD-L1の発現状況を問わずに登録され、ランダム化された。全ての患者(ITT集団)における全生存期間(OS)、およびPD-L1が発現している患者における全生存期間(OS)の二つを主要評価項目(PE)とした。ITT集団におけるOSの中央値はTECENTRIQ群13.8ヵ月がdocetaxel群9.6ヵ月を大きく上回った [ハザード比(HR)0.73、95%CI:0.62-0.87]。PD-L1低発現または非発現の患者群においてもハザード比0.75で統計学的に有意な生存期間の延長を示した。 (参考)  FDAは8月末に「標準化学療法の施行中または施行後に病勢が進行したPD-L1陽性のNSCLC患者」を対象として、TECENTRIQを画期的治療薬(BT)および優先審査に指定、承認期日を10月19日としていた。早期承認および二次療法としての承認は予定通り実現している。  二次療法効能追加の表現は、昨年(2015年)10月に承認されたオプジーボ(BMS)と同じである。PD-L1発現による制限がなく、すべてのNSCLC患者への投与が可能となった。オプジーボとほぼ同時(2015年10月)にNSCLC二次療法のFDA承認を取得したキートルーダ(メルク)には「PD-L1発現の確認」の制限がついていた。  今後の注目点は、各社のPD-1/L1阻害剤によるNSCLC一次療法の効能追加である。メルクはKEYNOTE-024試験を成功させて本年(2016年)9月に先陣を切ってFDAへの申請(sBLA)を提出した。一方、BMSが実施したCheckMate -026試験は失敗している。 Link   企業分析 ➜ Roche  新薬開発➜ 肺がん  ➔ PD-1/L1 inhibitor

PD-1阻害剤キートルーダの非小細胞肺がん臨床試験登録患者のPD-L1陽性率は28%

 メルク(MSD)はESMO2016において、 抗PD-1抗体キートルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の進行転移性非小細胞肺癌(NSCLC)を対象とした3本のグローバル臨床試験KEYNOTE-001(n=1,242)、KEYNOTE-010 (n=2,699)、および KEYNOTE-024(n=1,938)における登録患者のPD-L1発現状況を報告した。  PD-L1 の測定は、キートルーダで承認された唯一のCompanion 診断法PD-L1 IHC 22C3 pharmDx を用い、TPS≧50%を発現陽性と判定した。登録患者の総計5,879例のうち4,784例(81%)がPD-L1評価可能、そのうち1,596 例(33%)がTPS(陽性細胞の割合、tumor proportion score)が1%以下、1,832 例(38%)が1%以上/50%以下(1%~49%)、1,356 例(28%)が50%以上、と非常に高率であった。 (参考)  競合する抗PD-1受容体抗体オプジーボ(ブリストル・マイヤーズ)が非小細胞肺がん一次療法の効能追加をめざして失敗したCheckMate-026 試験では、PD-L1発現率5%以上を陽性としていた。 Link   企業分析 ➜ Merck(MSD)  新薬開発➜ 肺がん  ➔ PD-1/L1阻害剤

中外製薬のALK阻害剤アレセンサの「ALK 陽性非小細胞肺癌の一次療法」をFDAがBT指定

 中外製薬が創製したアレセンサ(一般名:アレクチニブ)がALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の一次療法としてFDAからブレークスルー治療指定(BTD)を受けた。今回のBTDはアレセンサとしては2回目、中外製薬として4回目の指定となる。中外製薬が実施したJ-ALEX 試験が指定の根拠となった。  J-ALEX試験は「ALK阻害剤未投与で化学療法未施行もしくは化学療法が1レジメン施行されたALK融合遺伝子陽性進行・再発非小細胞肺癌」の患者207名が登録され、アレセンサ単独投与群で無増悪生存期間(PFS)の統計学的に有意な延長が示された(99.6826%信頼区間:0.17-0.70、層別log-rank検定、p<0.0001)。クリゾチニブ群に対してPFSのハザード比(HR)で0.34という圧倒的な差をつけた。 (参考)  中外製薬は続いて5回目となるBTD指定を取得した。リウマチを含む自己免疫疾患に承認されている抗IL-6受容体抗体アクテムラが、巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)に対してFDAより画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定された。現時点で複数のBTDを取得している唯一の国内企業となっている。  アレセンサは、国内では2014年7月に「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として世界に先駆けて承認され、米国においては2015年12月に「クリゾチニブに不応または不耐容のALK陽性の転移性非小細胞肺がん」を効能・効果とする二次療法として承認されている。 Link   企業分析 ➜ 中外製薬   ➜ Roche  新薬開発➜ 肺がん   ➜ 画期的治療薬指定BTD